「抜群の脚本」メルボルン よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

3.0抜群の脚本

2015年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

 カメラは主人公の夫婦が住むアパートの一室をほとんど出ない。冒頭とラスト以外は、全てアパートの中で撮影されている。
 しかし、これが面白い。おおよそ近所付き合いの中で最も起きて欲しくないアクシデントが、しかもその日の午後には移住先のオーストラリアへ出発するという大切な日に起きてしまう。
 自分にはほとんど責任がないことを分かっているにもかかわらず、意味のない時間稼ぎのためについた自らの嘘に振り回されることになる。
 映画に携帯電話が出てくるとその冷たい振動音に興醒めするのだが、この作品ではとても効果的に使用されている。物語を運動させるのは、携帯電話をかけてくる親戚や玄関から入ってくる人々である。これが実に小気味よいタイミングで、アパートの中で煮詰まった二人に転機をもたらす。

佐分 利信