メイズ・ランナー : 映画評論・批評

メイズ・ランナー

劇場公開日 2015年5月22日
2015年5月12日更新 2015年5月22日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

若手男子キャストが好演、既存シリーズ作品とは一線を画すディストピアYA映画

ディストピアを舞台にしたヤング・アダルト小説のブームは終わらず、その映画化作品も絶えない。成功すれば原作と同じくシリーズ化して新しい若手スターを生むという展開も望めるが、上手くいかなかったら、広大な構想の末端を垣間見せるだけの不満足な映画が一本残ることになる。

メイズ・ランナー」はどうだろうか。原作は三部作からなる人気シリーズだが、思わせぶりなだけの第一弾ではなく、「ハンガー・ゲーム」や「ダイバージェント」のシリーズと違って、観客と同じように主人公たちも自分を取り巻く世界の成り立ちや社会構造を知らないという設定が上手く作用して、これ一作でも単独の作品として充分に楽しめる仕上がりになっている。

主人公の少年、トーマスは記憶を失い、貨物エレベーターに乗って見知らぬ世界に放り出される。そこは、自分と同じような年頃の少年たちが暮らす集落だ。彼らの集落は巨大な壁に囲まれ、壁の向こうは複雑な迷路になっている。迷路には更に恐ろしい仕掛けも用意されている。一体誰が何のためにこんな場所に少年たちを送り込んだのか、この世界の裏にどんな陰謀が隠されているのかは分からない。

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そうなってくると、とりあえず、トーマスたちに課されたミッションは一つだけということになる。この迷路からの脱出である。俊足の少年たちは「ランナー」となって迷路を駆け回り、構造を覚えて外に至る道を探しているが、既に統率が取れている迷路の内部世界を維持しようとする少年たちもいて、一見平和なメイズ内の男子社会は実のところ緊迫している。ウィリアム・ゴールドウィンの「蠅の王」にも似た世界だ。無理に話を広げず、脱出と少年たちの確執にテーマを絞ったことが功をなした。

トーマスを演じるディラン・オブライエン、彼の親友となるトーマス・ブロディ=サングスター、迷路の中の世界で生きていくことにこだわるジェリー役のウィル・ポールター、迷路脱出の鍵を握るミンホ役のキー・ホン・リーといった若手の男子キャストは好演だ。まるで男子校が舞台の青春物を見ているような親しみやすい雰囲気は、他のディストピアYA映画と一線を画すものである。その「男子校」的な世界が崩れる展開がやってくる後半、思わぬ事態に遭遇した時に男子集団が見せる反応が可愛らしく、緊迫感に満ちたラスト以上に印象に残るほどだ。

山崎まどか

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