劇場公開日 2014年10月18日

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「アジョシには及ばないが....」泣く男 レプリカントさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アジョシには及ばないが....

2019年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

普通に一つの映画作品として完成度は高い。本作鑑賞前はあのアジョシの監督だからと期待値を上げることはなかった。むしろアジョシのような作品はおいそれとは作れないだろう。だからこそハードルをあえて下げて見たら、これはこれで全く見事な作品に仕上がっていた。
本作のアクション、俳優陣の演技、演出などなど、どれを見ても高レベルの作品なのは一目瞭然。にも関わらず何故低評価なのかが謎である。
色々レビュアーの意見を見て納得。まず主人公が手練の殺し屋であることという設定に先入観を抱いた人による意見が的外れである点が浮き彫りになる。
殺し屋のくせに一人の少女を巻き添えに殺してしまったことに心悩ませる主人公が設定に対してぶれぶれであるなんてレビューがあった。少し待ってほしい。確かに主人公は長年犯罪組織で汚れ仕事を担ってきた男であるが、ゴルゴ13や冴羽リョウのような殺人マシーンではない。あくまで彼の生い立ち、何故犯罪組織に身を置いて生き延びなくてはならなかったのかを本作は丁寧に描いていた。それを見ればわかるはず。彼は根っからの殺人マシーンではなく、異国の地でたった一人生き延びなくてはならない宿命にあったことを。
根っからの悪人でないからこそ彼は殺しの仕事に嫌気がさし、組織からぬけたがっていた。そんな時に少女を誤って殺害してしまったのである。人の心を有しておれば当然悩み苦しむであろう。
彼は少女の母親の悲しみに直面し、自分自身の母のことを思う。彼自身が下した結論はあまりにも悲しいものだった。

レプリカント