劇場公開日 2015年7月25日

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「戦後75年」野火 M hobbyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0戦後75年

2020年8月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

第二次世界大戦で日本が負けてから、75年がたった2020年。
75年前の今日8月6日、広島に原爆が落とされた。
たくさんの人が命を奪われ、大切な人を失い、たった一度の人生を狂わされただろうと思うと、二度とそのような事があってはならないと強く思う。

リリー・フランキーさん出演作品を探していて見つけた本作。レビューを鑑賞前に数件読んで、鑑賞するには覚悟がいるなという印象を持ったが、みるなら少しでも同じ過ちを繰り返さないという気持ちを思い出す今日鑑賞したいと思った。

今までも数々の戦争を描いた映画を観てきたが、本作ほど頭から最後まで、緊張して鑑賞した戦争映画は無かったように思う。

ただただ、ずっと怖かった。緊張していた。
次は何が起こるのか、想像ができない自分。
戦争を体験したこともない私にとっては、勿論、想像などできるはずもなく。

一人の兵隊が経験した戦争というものを90分みっちりと見せられた。

グロテスクなシーンはたくさんあるが、これでも現実よりはまだ優しいのでは?と思えてくる。
匍匐前進をするシーンやジャングルを走り回るシーンなど、見たこともない景色だった。
これを命がけでしていた兵隊達の気持ちなど、想像できるわけがない。これをその人達の幸せな人生を犠牲にしてまでやっていた事なのかと思うと胸が苦しくなる。

よくある戦争映画には、主人公の身内の立場の女性がいますが、自分も女性としてそういうキャラクターがいるとついついそちら目線で映画を観てしまうが、本作品ではそういう事も皆無で(最後にチラッとじょせいはでてきますけどね)ひたすら兵士がどんな環境で、どのように時を過ごしていたかが描かれているのも、自分にとっては新鮮でした。

人が人でいられなくなる環境というのは存在する事がよく分かりました。
とてもじゃないが、私はこんな場所では生きていけないと思った。だからこそ、戦争は二度と起こしてはいけないと思う。
なんでもありなのが戦争。そこにモラルなど存在しない。

どれだけ時間が過ぎようと、私たちが過去の失敗、過ちを忘れてはいけない。その為に、このような映画が必要なんだと思う。恐ろしくて二度は観られないが、人には勧めたいと思う。

M hobby