劇場公開日 2015年6月27日

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「いい子でなくても良いとも思う」きみはいい子 M hobbyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5いい子でなくても良いとも思う

2020年8月1日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

友達に勧められて鑑賞しました。
偶然にも1本前に見た映画が「ここのみにて光輝く」で同じ呉監督!ご縁を感じました。

ストーリーは3つのそれぞれ違った主人公がおり、交わる事なく最後まで進みます。
ただ全てに共通するのは"子供"。

現在、私自身が子育て真っ最中で、まさにドンピシャの世代が描かれていた娘を虐待してしまうお母さんの話は、観ていて胸が痛くなりました。
映画ではこのお母さんも虐待の被害者であると言うことでしたが、私自身は酷くはないもののかなり厳しく、また親が感情的なタイプだったので、子供の頃はそれこそ"いい子"でいようと頑張っていました。
そんな私が母となり、2児を必死で育てる今、正直いうと感情的になって、子供に手をあげたり、大きな声で叱りつけたりする事があります。決してそんな事をしている私は良い母親とは言えません。ただ、今はまだ日常的にそれを繰り返しはしていませんが、いつ、どんな事をきっかけに私たち母親は虐待をしてしまうかは誰にもわかりません。そのくらい、子育てに没頭してついつい我を見失いかけて、自信をなくしては子供に当たっている弱い自分です。

子供に手をあげることは必要でないとは思います。

それはもちろん分かってはいるつもりでしたが、その姿を映像で見た時に恐ろしくなりました。
私もこんな顔してるのかな、こんな怖い目に子供を合わせているのか、、、など、心をえぐられるようでしたが、実際に母親から怒鳴られたり、叩かれたりしている我が子のことを思うと、言葉になりません。

映画のワンシーンで、疲労困憊、自信喪失している小学校教諭に甥っ子が膝に乗って、「頑張れ、頑張れ」と言いながらポンポンっと体に触れるシーンは涙が止まりませんでした。その後の、姉からの言葉。
「息子に優しくすれば、それを息子が真似する。つまり、息子に優しくなれば、世界は平和になる」

本当にその通りだなと思いました。

昔、自身の母親に言われた台詞を思い出しました。
もともと子供がそんなに好きではない私が、
「私は自分の子供は可愛いけど、よその子は全然可愛いとは思わないのよなー」
と言ったことに対して母は、
「それで十分や。世の中のお母さんがみんな自分の子供を可愛いと思ってたらそれだけで十分。そしたら虐待なんか無くなるわ」
と言いました。
その言葉を聞いてから、自信を持って私は他人の子に良い意味で興味がなくなりました笑

誰と比べていい子になるのか、と言うことではなく、あなたはいい子だ。ということを伝えるストーリーなんですが、なんとなくそこは違和感を持ちました。
いい子でなくてもよい。ただあなたがあなたでいればそれでよい。あなたが大好き。とその気持ちだけ伝えられれば、その気持ちさへ子供にちゃんと伝えられれば良いかなと思いました。

いろんな場面で涙が溢れてしまいましたが、時々思い出したように鑑賞したくなる映画でした。
ついつい、自分の感情のままに振る舞う私ですが、そんなめちゃくちゃな私を全力で好きだと伝えてくれる我が子達をもっともっと大切にしなければと思いました。
よい映画に出会えて良かったです。

M hobby