劇場公開日 2014年6月4日

「あなどることのできないホロリ」プールサイド・デイズ 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あなどることのできないホロリ

2020年7月11日
PCから投稿

なんでいつもいつもSam Rockwellてのは、やたらいい役ばかりなんだ?という既視感の基になっているのが、これだと思う。
優しさを、粗野/乱雑/ずぼらな態度で隠している感じが、スリービルボードでも、ジョジョラビットでも、同じなのである。
それが気に入らないってわけじゃないし、Sam Rockwellはいい役者だと思うけれど、いい奴を根こそぎもっていくわけで、おいしすぎるんじゃなかろうか、などと──どうでもいいことを思うのである。

継父に反旗をひるがえす、少年のひと夏の成長譚が、軽く見やすく描かれている。
ホロリとさせられる──という形容があるけれど、じっさいには、そんな芸当ができる映画なんて、滅多ない。
どこかでスタックするか、あさっての方向へ飛んでいくか、お涙頂戴になってしまうか、ホロリとさせようとしていることが解るだけ──か、映画を観る人なら、じつは易しいように思えるホロリとさせるが、高難易度なことは知っている。

いけてない少年の寂しさがわかりやすくて、救う神がいてくれて、悪玉にも善玉にも、いやになるクセがない。まるでなんでもないようなひと夏の話だから、かまえることなく、のんきでいられる。そもそもコメディである。そのリラックスが、Little Miss Sunshineや500 Days of Summerにも通じる、いい感じのホロリへ連れて行ってくれた。

Nat FaxonとJim Rashはコンビのライターで、はじめての監督、となっていた。このコンビはAlexander Payne監督との共著だが、名作The Descendantsも書いていた。それで、コメディでホロリを狙った作家だと知った。作り込みが、軽さや見やすさに隠れているのが巧い。
が、見ていないものの、imdbやtomatoesで新作Downhillが、けたたましくスベっていた。

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津次郎