ローマに消えた男のレビュー・感想・評価
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ユーモアとウィットだけではどうにもならぬこともあるわけだが・・・
「グレート・ビューティ」以来、トニ・セルビッロに魅了されてしまっている。この利よりの八の字眉毛に、ただそれだけにほだされてしまっている。政治家の役にはピッタリだ。イタリアの政治には全く関心も興味も沸きわしなかったけれど政治家の性質を知るには面白い映画だ。太平洋の向こうの国の大統領選挙のお祭り騒ぎと対比してしまったけれど愚かさを可愛げに変えてしまえるのは年寄の政治家にしかできないと痛感した。国の政の本質を見抜けぬ者は国をまとめることはできないしそれを知らしめるためには敵を明確に指摘するのは最も野卑で下劣な方法なのだ。攻撃する相手にはユーモアとウイットで返答しすかさず本意を突く言葉を投げるだけでいいのだ。
この映画の痛快さは、随所に散りばめられている。しかし、ラストほど絵にかいた痛快さはない。
カメレオン俳優、トニ!
途中でわかったけれど、あっぶない橋を渡ったな~。
彼女は本当に二人を愛していたんだと思う。彼の右目と彼の左目。ダニエル役の女優さんとても素敵。年齢差関係なく、素敵だなと思ったら男からでも女からでもデートに誘えるのはいいな。でも、昔の恋人はいつだって忘れることなく心の中にある…のは、男の人の願望かな。
政治家は言葉が勝負の職業だから要注意!あまりにも大勢の人間の心を一気に掴んで興奮させ感動させてしまう演説は危ない。今の日本は言葉がないがしろにされて機能不全に陥っているから、それ以前の話で問題外だけれど。
イタリアの大統領公邸は世界一の規模で1800人以上が働いている。英国王室で300人、スペイン王室は543人、ホワイトハウスは500人(日本の皇室は1000人)(データは古い可能性あります)!公邸の広さも半端なく警備も専用の司祭も沢山いて、その片鱗だけでもこの映画で見ることできたのは嬉しかった。イタリアにはまだ女性の首相は居ないけれど映画では可能。
音楽の使い方がよかった。髪の色ー白髪も素敵ねー、男女のヘアスタイル、衣装、靴、インテリア、全部素敵だった。一人二役どころか三役のトニは凄い!フランス語もダンスもハミングも変な歩き方も。そしてトニの笑顔を見ると元気になる。
オペラ演出家の素性が隠しきれない
監督が本場イタリアオペラのオペラ演出家だけあって、音楽、というより音の使い方がいい。足音、ワインをグラスに注ぐ音、ドアを閉める音、パソコンキーボードを高く音、自動車のクラクション、パトカーのサイレン、 音が建物の内部で反響する音響。
音と映像だけでも楽しめる。
セリフってなんだろう、という思いがする。
勝負どころで使ってくる音楽(ヴェルディ)もいい。そこはさすがオペラ監督。
セリフやストーリーはいかにもイタリアらしい軽さのある映画だけど、セリフは歌詞だと見なせばまた面白くなる。耳で聞くと一層面白みが増す。
おススメ作品です
劇場公開時に見逃していて、DVDで自宅鑑賞しました。
周囲にこの作品を観た人がいなかったので、「期待度半分」という感じで観たのですが、面白かったです。
ラストの部分が少しわかりづらくて、他の方のレビューを読んでみたら同様な事が書いてあり、安心(?)しました。
94分と短い作品なのでまた観てみたいです。
主人公「兄」の演説は魅力たっぷりでした。
軟硬絶妙な芝居と演出
国政を担う政治家の失踪、俄かに焦りだす政党、というエピソードから始まる物語。失踪した主人公に代わり双子の弟が秘密裏に兄の代役を務めるのだが...
双子の性格の違いをうまくストーリーに反映していて、ある意味狂気とも思える弟の政治演説に盛り上がっていく民衆と政党。登場人物のココロの動きに重心をおいた脚本・演出に好感がもてた。ひとり二役を演じたトニ・セルビッロのややオーバーな演技も淡々と進むストーリーのなかでいいアクセントになっていたし、脇を固める俳優陣の演技も良かった。
軟硬絶妙な芝居と演出。陰陽、結末はどちらともとれる謎めいた感じではあるが、それはそれで、全篇を貫く表現の中に収まる首尾一貫した流れで良かったのではないかと思う。
邦題はあまりピンと来なかった。
中年の危機
ある年齢に達するともう一度自分に向き合う機会が訪れる。それはきっと危機的状況の中で。
自分自身である、自分自身を生きる事を双子、替え玉であぶり出していく。
彼らの周りも、カラクリを知っていても知らなくても、少し自分に向き合う機会を得る。
会話や演説に言葉の力を感じたのと同時に、間や沈黙も語っていた。
ラストの彼は誰だろう?
小難しくて分からない…
なんか言ってる事が小難しくて、あんまり深くまで意味がわからなかった。
結局最後は戻って来たんですよね?
分からない…
ラストの描き方が謎を呼びます
イタリア統一選挙が差し迫る中、支持率が低迷している野党の書記長が失踪。窮地に陥った書記長の腹心は、書記長の双子の兄弟を担ぎだして、難局を乗り越えようとする・・・。
そう言うあらすじだと、もう少し、ドタバタして喜劇的に描かれても良いと思うのですが、意外や意外ドタバタ喜劇的ではありません。意外に、深いテーマが、非常に上手く描かれています。
何と言っても、一人二役のトニ・セルビッロですかねぇ。エンリコは現在の問題にひとりで深く悩む感じであったのに対し、ジョバンニはエンリコと違い、ウィットに富んだコメントを多発するちょっと“危険な“キャラ。全く違うキャラを、非常に上手く演じきっています。いやぁ、見事。彼の見事な演技があるんで、この作品が成り立つんですよね。
それと中々意味深だったのが、ラスト。あれは一体・・・と言う感じで終わります。いやぁ、観客に考えさせるという演出ですが、まんまと考えさせられますねぇ(笑)。あんまり書くと、ネタバレになってしまうのでかけませんが、元に戻ったとする解釈と、実は・・・と言う解釈の二通りの解釈が可能です。
って言うか、どちらかと言うと、後者?
西欧の政治は演説勝負
1人二役はお見事。
政党スタッフ、政治家、市民の政治に対する皮肉もたっぷり。プチロマンスもありこじんまりと楽しめる作品でした。
今日は、奇しくも大阪府知事大阪市長のダブル選挙。
入り込み難い
予備知識がないと主人公がどんな立場の人間かがわかり難く、後半は見た目も一緒になるから場面転換直後はどちらか迷う。
ストーリーは良くある話しだけど、それほどの立場の人ならばれない訳がないし資質までもが…都合が良すぎるし、みんな不貞だし。
都合が良いのは置いておくとしてもイタリアの政治や思想や文化がわからない自分は作中に入り込めなかった。
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