劇場公開日 2014年11月8日

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「女性の支持は得られるのか?」花宵道中 ユキト@アマミヤさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0女性の支持は得られるのか?

2014年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

萌える

天才と呼ばれた子役にも、当然の事ながら「年齢」という厳しい壁が立ちはだかる訳です。そのあたりは芦田愛菜ちゃんなども、今後、女優業を続けていくならば、乗り越えなければならなくなる運命にあります。本作の主役は安達祐実。「同情するなら金をくれ!!」と言うあのセリフを吐いた名子役でありました。
その人が本作ではついに脱ぐんであります。
濡れ場アリです。
まあ、映画興行を考慮すると、かなりのインパクトがあるのでしょう。劇場で鑑賞する限り、平日にも関わらず、6、7割客席が埋まっておりました。
物語は江戸時代の遊郭、吉原。ここに人気の遊女がいるのです。
男達の関心を浴びたこの遊女、高潮すると「肌に花が咲く」ともっぱらの評判なのです。
それを拝みたくて、彼女を指名してくる客が多いのです。
まあ、その遊郭にとっては看板のような存在です。
「遊女にとって大事なのは男に惚れない事」
それを守り続けてきた、この看板遊女「朝霧」
ところが、あるとき縁日で知り合った半次郎という男性に、心引かれてしまうのです。彼は、腕のいい、染め物職人。朝霧の切れた下駄の鼻緒をキレイに直してくれたりします。
朝霧はもうすぐ年季明けです。吉原の遊女という身分から、ついに解放か、と思いますが、名の知れた遊女ともなると、お金持ちの「旦那」さんが放っとかないわけですね。
旦那の方は朝霧を身請けするつもりですので、もう半分自分の所有物のように思っている。
ある日、この旦那の宴席に朝霧が呼ばれました。とろこが、その連れの客として、なんとあの半次郎がいるのです。半次郎にしても、まさか、幼顔の可憐な彼女が遊女であったとは、全く青天の霹靂。しかも、朝霧としては、スポンサーである旦那の宴席。旦那からのいやらし~い、あ~んなことや、こ~んなことも、つれの半次郎の目の前で演じてみせなくてはならない。こりゃ~、辛い状況ですな。
というわけで、その後どうなるのかは、劇場でお楽しみくださいませ。
本作の見所は、もちろん安達祐実がどのように大人の女、しかも遊女を妖艶に演じるか? にかかっている訳でして、実によく分かりすぎる展開の作品です。
吉原の遊女を扱った作品として、近年では蜷川実花監督、土屋アンナ主演の「さくらん」があります。あの作品は僕も劇場で鑑賞しました。
吉原の遊女を扱った作品として、どうしても本作と「さくらん」は見比べてしまいますね。本作「花宵道中」が原作は女性ながら、男性監督を起用したのに対し「さくらん」の場合、その特筆すべき点は、原作 安藤モヨコ、脚本 タナダユキ、監督 蜷川実花、主演 土屋アンナ、更には音楽さえも椎名林檎さんが担当。
まさに鉄壁の「女性チーム」を組んでいる事です。徹底して女性目線の「吉原、花魁映画」を作ろうとした蜷川実花監督の狙いは見事的中しました。僕としては蜷川実花ワールドを楽しめる佳作であると感じました。
では、本作「花宵道中」はどうでしょうか?
残念ながら、その点、男性の興味本位の部分があちこちに見え隠れする感じがあるのです。女性の観客の共感や支持を得られるのかなぁ~。この辺りは逆に僕が女性の観客にお訊きしたいところです。
え~、もちろん、R15指定なので「良い子の皆さん」は安達祐実さんぐらいの年齢になってから見てくださいね。

ユキト@アマミヤ