劇場公開日 2014年8月30日

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「食べて、マイペースで、憧れて」リトル・フォレスト 夏・秋 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5食べて、マイペースで、憧れて

2019年4月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

幸せ

萌える

私事ながら、つい最近仕事で部署異動&キャリアアップとなり、これまで以上に仕事がハードに。(その分、お給料面には反映されるとか)
毎日忙殺だからこそ、本作のような作品に癒される。

都会に馴染めず、故郷の東北の山村に戻ったヒロイン・いち子。
てっきり都会での苦い過去を背景に、ヒロインの内面や再起が描かれると思いきや、
農作業して、食べて、近所の仕事を手伝って、食べて、それから食べて食べて食べて…って、食べてばかり!
周りにスーパーなど便利な商業施設は皆無で、それこそとなりにトトロが出てきそうなド田舎だが、着の身着のままのマイペースライフ。
夏は茹だるような暑さ、秋は急に冷え込む、自然に包まれた地らしい気候。
ちょっと憧れる。

創意工夫の料理の数々。
自家製甘酒、自家製ウスターソースをかけた揚げ物、自家製ジャムをかけたパン、岩魚の姿焼き、鴨の姿焼き…。
どれもこれも超豪華ではないが、魅力的な地元飯が大いに食欲をそそる。

全編ほぼ出ずっぱり。
ナチュラルな演技、のんびりとした日々の暮らし、お食事風景、ゆったりとしたナレーション…。
橋本愛のPVと言ってもいい。
これも萌える…いや、癒される魅力の一つ。

前半“夏編”が終わるとスタッフ・キャストのクレジットが流れ、再び製作会社ロゴからの“秋編”スタートのユニークな作り。
自給自足のマイペースライフの模様を淡々と、出来事らしい出来事は全く起こらず(唯一、ラストに届いた突然家を出た母からの手紙くらい)、この作風は好みが分かれるかもしれないが、個人的には書き出しの理由もあり気に入った。
東北の厳しい冬、そして温かな春へ。

こういう暮らしに憧れると書いたが、実際はそんな軽口が叩けないほど大変なのは分かってる。
何も無いド田舎での自給自足、季節と常に対さなければならない。
本当は都会よりハードな営み。
でも、それでも、やはり憧れてしまう。

近大