インヒアレント・ヴァイス(ネタバレ)のレビュー・感想・評価

インヒアレント・ヴァイス

劇場公開日 2015年4月18日
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とてもよかった ネタバレ

 音楽と映像の感じと役者の存在感がとても魅力的だった。ミステリーの要素は大して盛り上がらなかったけどそんなに変じゃなくてよかった。あの時代あの空間に行って一緒に大麻を吸いたい。

 ただ、2016年にWOWOWで録画したのを見ていて最初、途中で寝てしまい、しばらくして初めから見ていたら2時間15分で録画が切れてしまい、翌日DVDレンタルでようやく最後まで見た。そのためなんだかスッキリしなかった。

古泉智浩
古泉智浩さん / 2019年1月25日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  楽しい
  • 鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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内在する良心 ネタバレ

ノーベル文学賞を何度も辞退している謎の覆面作家トマス・ピンチョンによる「LAヴァイス」が原作。何せ名誉とか栄誉とか目立つことには一切興味のない作家さんだそうだが、今回初めてお墨付き与えた映画になんとピンチョン自らカメオ出演しているという噂も。

ヒッピー文化への言及が多い原作は、ピンチョン著作の中でも最もわかり易い部類に属するらしいが、映画を見る限り登場人物や団体名を覚えるだけでも一苦労、サイケカラーの?マークがいくつも浮かぶカオス感満載の内容だ。

70年生まれのPTAにとっては、ベトナム戦争が泥沼化した70年はリアルに青春期を過ごした時代ではなかったはずだが、当時のポップ・カルチャーを再現した数々の意匠はマニア心を結構くすぐるらしい。

フィリップ・マーロウ主人公の探偵小説にオマージュを捧げた映画冒頭シーンにはじまり、知らない人が見たらウルヴァリンにしかみえないドク(ホアキン・フェニックス)の髭は、ニール・ヤングなどの歌手が当時たくわえていたマトンチョップスと呼ばれる代物だという。

坂本九のSUKIYAKIはお約束としても、サイケ風からミニー・リパートンやチャック・ジャクソンのクラシック・ソウルまで、使われていた楽曲は、曲を聴いたことのない人でもラブ&ピースな70年を連想させる選曲だ。

しかし映画は同時に、そんなアメリカン・ポップカルチャー衰退の起点となったチャールズ・マンソン 事件や、土地開発のためインディオを追い出したLAの暗い過去、歯医者や精神科医、麻薬カルテルにFBIそしてLAPDまで、巨悪に加担する白人支配層をシニカルに描き出す。

昔の恋人から依頼された愛人失踪事件調査のはずが、いく先々で聴取人から別の依頼を受けて、マリファナ中毒のドクの頭の中同様、観客の皆さんをひたすら混乱の渦に巻き込んでいくストーリーは、木を見て森を見ないシネフィルの皆さんが見たら、確実に置いてけぼりを食ってしまうことだろう。

原作には登場するヴェガスのくだりを省き、精神病院における“再生プログラム”を受ける人々をラストのオチに持ってきたPTAの真意は一体何だったのだろう。

「無賃住宅」の建設構想を夢見る不動産王、FBIの雇われ潜入捜査員を辞めたがっているコーイ(オーウェン・ウィルソン)やLAPDに飼われている殺し屋の子分、そしてその殺し屋に相棒を殺されたトラウマに悩むビッグフット(ジョシュ・ブローリン)もまた、インヒアレント・ヴァイス(内在する瑕疵)から発せられる声なき声のせいで精神を病んでいたのではないか。

悪徳がはびこるLAをアメリカ固有の瑕疵ととらえた原作者同様、「ビッグ・リボウスキ」のコーエン兄弟が徹頭徹尾性悪説に則っている映画監督だとすれば、PTAは“敷石の下はビーチ”であることを信じている数少ない監督のうちの1人だと思うのだがどうだろう。

かなり悪いオヤジ
かなり悪いオヤジさん / 2017年10月8日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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タマゴは壊れやすい ネタバレ

探偵の物語。


探偵で真っ先に浮かんでくるのが、チャンドラーのフィリップ・マーロウ。

この映画、冒頭の「暗闇から現れる女」や、「洋上に浮かぶ船」、そして何より「死んだはずの男」が出てくるあたりが、完全にマーロウの世界で、ファンとしては、グハっとなる。うわ、タマランと悶えっぱなし。最後のケツの持ち方もマーロウ。この映画が「第3のマーロウ」と言われているのも分かる気がする。


壊れた街を壊れた男が彷徨うのがノワール。
壊れた街を壊れない男が彷徨うのがハードボイルド。
(by滝本誠氏)

だとすると、マーロウは、壊れそうで決して壊れない探偵。
そんなイメージを私は勝手だが持ち続つけてきた。

何度も映画化されているが、

ハンフリー・ボガート版は、シュっとしすぎていて「壊れそう」な感じがしない。めっちゃカッコいいしハードボイルドに違いないんだけど、私の思うマーロウではない気がする。(ボギーファンの方、こんなこと書いてほんと申し訳ありません。)

アルトマン版は「壊れそう」な危うさがイメージ通り。だけども肝心の主役のオーラが無さすぎて、個人的には残念な気もする。

一番好きなロバート・ミッチャム版は、LOVE & HATEのどちらに転ぶかわからないミッチャムの幅がまさにマーロウなんだが、その他の演出がどうにもこうにも古臭い気がする。

マーロウ映画に対し千々に乱れる思いを抱いてきたわけだが、いやはや今回の『インヒアレント・ヴァイス』、「壊れそうで決して壊れない男」に、ホアキンがぴったりとマッチしており、これぞ、マーロウと思ったりもする。(個人的な妄想で盛りあがった上での感想なので、こんなのマーロウじゃないと思うファンの方もいるかと思う。すみません。冷静に観ればちょっとダラダラしすぎとも思う。)

原作ピンチョンがどこまでマーロウを意識したかは謎(他の要素も入れてある)。PTA監督はアルトマン版の雰囲気を結構意識したのではないかと思う。


ストーリー自体は、起承転結もあり意外に普通の探偵ものになっていたような気がする。人種間の攻防、土地を巡るエスタブリッシュVS新興の対立、警察司法の陰謀めいた動きなど、チャンドラーというよりもエルロイのLA4部作、アメリカ3部作のパロディっぽい気もするが。

ストーリー自体は普通だがそこに象徴されるもの。

古き良きアメリカの番犬的な刑事(アメリカ50年代の象徴)。
LOVE & PEACEな雰囲気の元彼女(60〜70年代の象徴)。
流され続けて今自分がどこに居るかわからない「死んだはずの男」(戦後アメリカそのもの)。

彼らが壊れた様を、映画は描いている。
彼らを壊したのは誰なのか。
ニクソン&レーガンな保守(80年代)なのか。

いや、そうではなく、そもそもが壊れやすい性質だったのだ。
誰のせいでもなく、自ら壊れていったのだ。

60〜70年代の、LOVE & PEACE、フリーダム、ヒッピー。
それらは、誰かが需要と供給をコントロールして生み出したものに過ぎず、ほんとのフリーダムなんて無かった。最初から壊れていた。

70年代へのノスタルジーがこの映画の主眼ではなく、憧れるべき70年代は最初から壊れていたのだという冷静な見解。

インヒアレント・ヴァイス…固有の瑕疵(タマゴが壊れやすいという性質は誰にも変えられないし保証補填できない)。
この映画は、アメリカの「固有の瑕疵」の物語なんだろうと思う。

壊れゆく刑事も元彼女も、探偵は助けられない。
この映画の探偵は、壊れない「強さ」よりも、周りが壊れゆく様を見届けなければならない「悲しさ」が勝っている。そこがマーロウとの共通点なのかなと思う。


ラスト、探偵は「死んだはずの男」を、全てを引き換えに助ける。
なぜか。「男は死んでない」と頑なに信じる妻(名前はホープ)がいたからだ。探偵は「希望」を壊したくなかった。

明るいラストなのかもしれない。
でも、探偵が助けたことで、より壊れてしまったジャンキーの家出娘も映画に出てきており、一筋縄ではいかないなあとも思う。


追記:
雰囲気やストーリーは全く違うが、この映画と『グランド・ブダペスト・ホテル』の主題は同じだと思う。
『グランド〜』は戦前の古き良き時代へのノスタルジーだけではなく、それらが壊れていく「終りのはじまり」を描いていた。
この映画も同じで、70年代の「終りのはじまり」を描いているんだろうなと思う。
この「終りのはじまり」路線は、『ジャッキー・コーガン』(リーマンショックなどの問題は今に始まったことではなく、1810年代から始まっているんだ云々)など、他にもいっぱいあって、アメリカの文化人の人はこういうのが好きなんだなあと思う。

小二郎
小二郎さん / 2015年5月11日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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