劇場公開日 2014年2月28日

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「「息子から父に贈る一等賞」に、爽やかな感動を覚える」ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 セッションさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「息子から父に贈る一等賞」に、爽やかな感動を覚える

2020年6月10日
iPhoneアプリから投稿

あなたは宝くじ一等に当選しました!おめでとうございます!

という誰が見ても明らかなフィッシングメールを信じ込み、
賞金を受け取ろうと、家から1600キロ離れたネブラスカに向かうアル中老人ウディと、
嘘と知りながら彼に付き添う、息子デヴィッドが主人公のコメディロードムービー。

映像は全てモノクロで、このこじんまりとした物語をより味わい深いものにしています。

ブルース・ダーンが常に口を半開きで演じるウディは、
度々一人で徘徊して家族を困らせるものの、
どこか憎めない可愛らしさまで滲ませています。
カンヌで男優賞を獲得したのも納得の名演でした。

二人は旅の道中、ウディの故郷の町に立ち寄るのですが、ここで明らかになる、
父が息子にも隠してきた過ちの数々や、
大きな心の傷を負い、酒浸りの原因となったある出来事は、
この上なく痛々しく、ウディのこれまでの人生の苦しみを感じずにはいられません。

賞金を受け取れると信じた彼の行動が、実は自身のためではなく、
彼が人生の終盤に成し遂げたかった「あること」のためだったことが分かる展開には、
思わず涙腺が緩まされました。

そんなウディの恥ずべき部分を目の当たりにしても、
父を思いやり、彼の名誉を回復してあげようと奮闘し、
最後には「息子からの一等賞」をプレゼントするデヴィッドの姿は、
私たちに爽やかな感動を与えてくれます。

金の話と車のスピード自慢ばかりしている彼らの親戚や、
若かりし頃に思いを馳せ、聞きたくもない下ネタを息子に披露しまくる母ケイトなどなど、
アレクサンダー・ペイン監督はきっちり笑わせどころも用意してくれているのでご安心を。

画面の向こうからこちらにウディが歩いてくるOPと、
画面の向こうへと二人で去っていくEDの円環構造もお見事の一言。

派手な作品ばかり見て目が疲れたあなたにオススメ!

せき