六月燈の三姉妹のレビュー・感想・評価

吹石一恵を綺麗に撮りたかったのだろうが冒頭から意味もなくモデル撮影のようなショットの連続に興ざめ、つづいて井上順二と若い衆のコント仕立ての猿芝居ときて監督のセンスの無さに思わず引いてしまいました。次女の離婚騒動を軸にドラマを引っ張るのですが、妙な喜劇仕立てや不釣り合いのカップル感が先立って老親との同居問題と分かるまで真面目な社会派ドラマの流れとは気づきませんでした。美人を集めたのに男優陣は全く釣り合っていない不自然さ、このキャスティングは何なのでしょう。ただ、長女の吉田羊さんが前に出ない芝居に徹していたのが印象的でした、父親役の西田聖志郎さんは馴染みが無かったのですがそもそもの企画を持ち込んだミスター鹿児島的な方だったのですね。
元は舞台劇なので映画化は難しかったのでしょう、家族劇に鹿児島の景観や古い町並み、祭りなどを付け足し、ご当地PR、故郷ノシタルジーをまぶしました感が拭えない。訳あり女系家族の心の機微を小津安二郎ばりに描くのかと期待していたのですが全てにおいて消化不良に思えました。