劇場公開日 1984年3月11日

「宮崎駿監督のターニングポイントとなった伝説的な作品! (評価は庵野秀明監督らのオーディオコメンタリーも込みで)」風の谷のナウシカ 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

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5.0宮崎駿監督のターニングポイントとなった伝説的な作品! (評価は庵野秀明監督らのオーディオコメンタリーも込みで)

2020年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

これまで何度か見た作品ではありましたが、初めてDVDのオーディオコメンタリーも含めて見てみました。
物語りの設定は、産業文明が崩壊した1000年後で、(腐海の中では)大気中に毒があり、登場人物らはマスクをしていたりもするので、ちょうど今の時代と共通点もありそうです。
本作は宮崎駿監督が自分の名前だけで自立した初めての映画で、スタジオジブリの初作品とされています(厳密には、「風の谷のナウシカ」だけはジブリ前身のトップクラフトですが)。
当時は財政的にも厳しかったようで、宮崎駿監督が脚本や絵コンテ、レイアウトだけでなく、原画、さらには、動画さえも直して描いたりしていたようです。
オープニングとエンディングはさっぱりしていて、オープニングで原画スタッフまで出す映画は、私の記憶ではこれが初めてかもしれません。(それくらいスタッフが少なかった、とも言えると思います)
見どころとしては、「エヴァンゲリオン」で有名な庵野秀明監督が、駆け出しの時にラスト近くの巨神兵のシーンを描いているところと、金田伊功という「現在の多くのアニメーション作品のアクションシーンに多大な影響を与えたアニメーター」が描いたシーンでしょうか。
アニメーションの効果的な動きで重要なものに「パース」(遠近法を使った画面構成)というものがあって、この「パース」を使うことで、キャラクターなどに、より迫力のある動きをさせることができます。宮崎アニメでは、「天空の城ラピュタ」、「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」、「紅の豚」、「もののけ姫」に至るまで、金田伊功氏の原画が宮崎駿監督作品のクオリティーを大きく支えていた面もありました。
例えば「風の谷のナウシカ」では、アスベルの登場シーンが象徴的でしょうか。
アスベルは、いわゆる「ヒーロー」的な立ち位置ですが、最初の登場シーンは「殺人鬼」にしか見えません。これは、「パース」を使った作画手法に加えて、目を設定とは程遠いほど違うように見せている上手さがあります。このように味がありシャープでダイナミックな映像を当時から確立していて、原画スタッフではトップでクレジットされています。
さて、私の中で「風の谷のナウシカ」は、何か他の宮崎駿作品とは違う、とずっと思っていたのですが、今回、DVDのオーディオコメンタリーを合わせて見て初めて気付いたのは、ヒロインのナウシカは、庵野秀明監督曰く「宮崎駿監督のダークサイドを背負った人物像」なのだそうです。
確かにこれ以降の宮崎アニメのヒロインは、人を殺したりはしないですよね。
とは言え、自然との共生を目指し、優しく強い正義感を持っているのでナウシカの人気は非常に高いわけですね。
ラストシーンも当初は別のパターンだったりしたようですが、私はこの最終版で良かったと思います。
現代のアニメーション映画の最先端を担う「エヴァンゲリオン」等にも影響を与えたといえる本作は、宮崎駿監督のみならず「日本のアニメーション映画のターニングポイント」になった作品と言えるでしょう。

なお、オーディオコメンタリーでは、演出助手だった片山一良氏が進行する感じで庵野秀明監督が、ワンカットごとに素直に褒めたり、宮崎駿監督のことをけなしたりと、なかなか愛に溢れた面白い出来になっていました(笑)。
いずれにしても、CGが使えない時代で、ここまで手書きで勝負できるって凄いことだと思います!

コメントする (コメント数 2 件)
共感した! (共感した人 10 件)
細野真宏
細野真宏さんのコメント
2020年7月4日

Hiro Takaさん、こんにちは。ご指摘ありがとうございます。確かに誤解を生む恐れもありますね。
誤解を生まないように、(腐海の中では) という注釈を入れておきました。

細野真宏
Hiro Takaさんのコメント
2020年7月4日

一つ補足させてもらうと、大気中に毒があってマスクを云々…と言うのは、あくまで腐海の中だけの話であって、普段の生活で登場人物全てがマスクをしている訳ではありません。

全員マスクをしている絵を想像してしまうと、全く世界観が変わってしまうので、訂正させてもらいました。

Hiro Taka
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