劇場公開日 2014年1月25日

  • 予告編を見る

「NWRの才能が開花した重要作」オンリー・ゴッド nagiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5NWRの才能が開花した重要作

2017年9月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

本作と共に、最近公開された『My Life Directed By Nicolas Winding Refn』も観てほしい。1時間程度のドキュメンタリーで、レフンの妻リヴが彼の作品『オンリー・ゴッド』の撮影裏を映している。

そのドキュメンタリーによると、彼は『ドライヴ』の成功による周囲から新作への高すぎる期待がプレッシャーとなって苦しんでいた。彼は『ドライヴ2』は絶対に作らない、その強い信念を持って製作に臨むも、やはり『ドライヴ』ほど成功しないのではないかという不安にフラストレーションが溜まり、些細なことでリヴと衝突する姿も垣間見えた。

『ドライヴ』という成功の呪縛に苦しみながら作り上げた本作は、「他者の意見なんてどうでも良い」という意志をもった、緊張感・エネルギーに溢れた凄まじいクライム映画になった。

空間を真正面から撮影した絵、オブジェクトと化した非人間的なキャラクタ(カラオケシーンでの警官)がシュルレアリスム的不安感、浮遊感を煽る。さらに、やはりレフン映画の代名詞の強烈な光のコントラストは本作でも健在。健在というより、『ドライヴ』よりもさらに強烈になった。

この映画の賛否は別れた。やはり『ドライヴ』よりも成功はしなかった。
それでも、『ドライヴ』の呪縛にもがき苦しんだ彼が作り上げた本作品は、彼の真の才能を引き出した。この後に続く問題作『ネオン・デーモン』で彼の個性はさらに爆発することになる。

私は万人受けする『ドライヴ』よりも、『オンリーゴッド』『ネオンデーモン』の方が彼の意志が良く見え、快作であると思う。

nagi