劇場公開日 2014年10月4日

「渋い。」蜩ノ記 fukui42さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0渋い。

2018年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「側室と密通した罪」として、10年後の切腹まで家譜を命ぜられた秋谷と。書道の時間に紙が飛んで、隣席の武士と刀を抜く喧嘩になって、秋谷を監視する役目になった庄三郎。
どちらも「左遷」された者同士。どことなく哀愁が漂ってました。

秋谷が書いている「蜩ノ記」。その意味を庄三郎が問うと、「ここは蜩がたくさんいる。それと、私もその日暮らしじゃ」ってにっこり微笑む秋谷を見て、この人にはすべてよきも悪気もひっくるめて、ここにいるのでは?と感じます。そんな懐の広さ。

庄三郎も一つ屋根の下で暮らすうち、秋谷家にすっかりなじみ。中でも元服前の息子・郁太郎に、太刀さばきを教えたりなど、兄貴的存在になっていくのが、秋谷にも心強い存在になっていくのがわかります。

「秋谷家にいるようになったら、すっかりそっち寄りになったのお」と庄三郎は上役に言われます。それは秋谷が、左遷された先で農民たちとともに生きる姿とも重なります。最初は「武士は畑には入りませぬ」なんて言っていた庄三郎だったのに。

心が広い秋月役。役所広司さん以外できないでしょ。それくらいハマってました。庄三郎役の岡田准一さんも、控えめでいてやる時はやる。なかなか良かったです。

ゆき@おうちの中の人