劇場公開日 2014年8月22日

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「【性善説に立ったガス・バン・サント監督がアメリカの貧しき州の抱える問題をテーマとした、魅力溢れる社会派作品。】」プロミスト・ランド(2012) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【性善説に立ったガス・バン・サント監督がアメリカの貧しき州の抱える問題をテーマとした、魅力溢れる社会派作品。】

2019年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

- シェール・ガス問題を表向きの主題として、実は、アメリカの地方の州の現状に深く切り込んだ作品。-

◆今作を鑑賞して思い出したのは「ファーナス/決別の朝」である。
 今作同様に、且つては栄えたアメリカ鉄鋼業を支えた町に生きる男達(クリスチャン・ベール、ウディ・ハレルソン、ケイシー・アフレック・・)の屈託を抱えた姿が脳裏を過った。

・今作でも、トーンは違えどペンシルベニアの田舎町が舞台で、そこに現れたエネルギー会社社員を演じたマット・デイモンとフランシス・マクドーマンドがやって来る。
ー 今にして思えば、凄いコンビである・・。ー

・二人は、純粋に自らの責務を果たすために、田舎町の土地の奥深くにある、シェール・ガス採掘権利を求めるために、住民一人一人と接触していくのであるが・・

<今作品の様な、アメリカの地域格差をテーマにした作品を、商業ベースの映画にして勝負してくる当時のアメリカ映画界のスタンスとガス・バン・サント監督の矜持に、敬意を表したいと思った作品である。
 2021年になっても、今作と同様のアメリカが抱える諸問題を正面からテーマにした社会派作品が、脚光を浴びている。
 現代に蔓延る、様々な問題提起を真摯に受け止め、評価するアメリカ映画界の姿勢は、是非維持して頂きたいものである。邦画界にしても然り。>

NOBU