劇場公開日 2013年2月16日

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ジャッジ・ドレッド : 映画評論・批評

2013年2月12日更新

2013年2月16日より渋谷TOEI、新宿ミラノ2ほかにてロードショー

悩めるヒーローの時代に再起動された“正義の権化”の孤高の闘い

昨今のハリウッドのアメコミ映画ではやたら正義の概念が問い直され、闘いの動機付けを見失ったヒーローが苦悩しまくっているが、イギリスの人気コミック発の主人公ジャッジ・ドレッドは鋼鉄の意志を持つスーパー司法官だ。自らの手で逮捕した犯罪者に判決を下し、即座に刑を執行。温情主義を完全否定し、司法取引などの妥協も一切許さない。法という名の正義を貫き通すドレッドこそは、究極のハードボイルド・ヒーローだ。

シルベスター・スタローンの同名主演作以来、17年ぶりに製作されたこのリブート版は、原作の世界観とドレッドのキャラクターだけを受け継いだオリジナルの物語だ。麻薬組織が巣食う200階立てスラムタワーという「ザ・レイド」をスケールアップさせたような舞台設定のもと、一日の出来事をワン・シチュエーションで描出。多機能処刑銃を握り締めたドレッドは、多勢に無勢も何のそのと敵の女ボスが陣取る最上階をめざす。弾切れに直面しても重傷を負っても弱音を吐かないその勇姿にただ痺れるか、それとも物言わぬ司法官の背中に正義の孤独と限界を感じとるか。とことん情緒を排除してシンプルに徹した作りが、そんな逆説的な見方を可能にした。

3D版では「スラムドッグ$ミリオネア」のアンソニー・ドッド・マントル撮影によるスローモーションのバイオレンス&トリップ映像もインパクト大だが、筆者推薦の見どころはドレッドの相棒を務める新米女性ジャッジだ。無法タワーの闇に栄える金髪や虚ろな目つきといい、おぞましい暴力の洗礼をぎこちなく踏みこえていく初々しさといい、そのはかなげで“強くない”ヒロイン像にも作り手のセンスの妙が光っている。

高橋諭治

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