劇場公開日 2012年11月3日

「それなりにおもしろかった」私の奴隷になりなさい あまねさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5それなりにおもしろかった

2021年10月2日
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檀密に少し関心を持ったので、観てみた。
わたし的には、面白い映画だった。

前半はだるすぎて、寝かけたり他の映画に時々浮気しては戻ってきたりしていた。軽薄そのもので自信過剰な男の、つまらないナンパストーリーなど、全くどーでもよかった。

ただ、後になれば、最初のこれも意味を持ってくるのがわかる。
彼は、香奈に出会った後、大きく変わるから。
高次元に移り、もはや過去に自分が積み上げてきた女遍歴は、バカらしく意味をなさなくなるまでになる。そういう、対比という意味があった。

バーでの『先生』の登場から一気に理屈っぽくなってくるけれど、SMの世界の哲学は感じられる。

「主従関係ははっきりさせなくちゃいけない」というような言葉があり、動物は序列をつけたがるから、自然なことなのかも!と納得。ここに、変に人間社会の感覚を持ち込んでは邪魔になる。
とはいえ、まず双方の同意はあり、共に高みに行きたいという同じ目的や同じ感覚があり、目的達成後は心を傷つけないよう無理のない形で次の人に委ねる、という丁寧さやいたわりもある。
この点においては、人間は動物とはいえ、やはり上等な生き物なのだと、安心したりしてしまう。

香奈には笑顔がなく、ものに取りつかれた様相で、人との普通のコミュニケーションもあまりとれていない(とろうとしていない?)。
だから、もしリアルにこうなったらヤバイ。香奈のようになりたくない。

ただ、ここで繰り広げられていることもまた、人間の、どうしようもない一側面なのは確かなのだろう…

あま・おと