劇場公開日 2002年11月30日

AIKIのレビュー・感想・評価

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3.5できねえことはできねえ!

2022年10月21日
iPhoneアプリから投稿

「迫り来る相手を受け入れ、自分の身体の一部とする」という合気道の極意は、太一のハンディキャップへの向き合い方とも通じている。誰かのせいにしようが過去を嘆こうが、下半身を貫くこの無感覚だけが現実であり、それは決して変えることができない。しかしそこを敢えて諦め切って自己自身と向き合うことで、何か新しい道筋が見えてくるかもしれない。

彼がその結果見出した合気道という武術はかなり変わっている。自分からは一切動かず、相手から加えられた暴力をそのまま相手の身体に受け流す。言うなれば徹底的な受動だ。

思えばこの映画には「能動性の失効」がキータームとなるシーンがいくつもあった。そもそも太一は下半身付随という形で「ボクシング」という能動性を序盤から完全に失っているわけだし。

中でも勃起できない太一とサマ子が性行為に及ぶシーンは印象的だ。太一は「こういうのは自分から行かなきゃダメだよ」とサマ子に諭されいざモーションをかけてみたものの勃起できない。ここぞという場で能動性を削がれた太一は落ち込むが、サマ子は大丈夫だよと優しく包み込む。そして二人は勃起の介在しない性行為を心ゆくまで楽しむ。

「障害者だってやろうと思えばなんでもできるんだ!」みたいな「能動性の回復」をゴールに据えた障害者映画は多いが、本作はそういった出来合いのエンパワ映画とはむしろ真逆といえる。障害者なんだからできねえことはできねえ、と割り切ったうえで、だからこそできなさそれ自体にポジティブな価値を見出していくしかねえんじゃねえのか?というのが本作のメッセージだと思う。

サマ子の失踪に関して、その顛末がオープンエンドでぼかされていたのもかなりよかった。もしここで太一が悪の組織を自分一人だけの力でバタバタ薙ぎ倒していく、みたいな描写があったら本作は障害者という奇特さで味付けしただけの俗悪なカルト映画に落ちぶれてしまっていたと思う。

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因果

3.0劇場公開時鑑賞。

2022年7月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

イカサマのサマ子…だったかな。ともさかりえの飄々としたキャラクターが良かった。
エンドロールで次々と転がす様子を見て、ちょっとだけだけ合気道を習ってみたくなる。

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なお

4.5もっと注目されてほしい映画シリーズ〜

2018年2月26日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

楽しい

どんどんぱふぱふo(^o^)o
公開時、渋谷なのに映画館はガラガラだった。
平日だったけど

石橋凌はこの映画からだいぶ役柄の方向性が変わったと思う。それまではやーさんな役ばかりだったけど
「キッズ・リターン」とか
とにかく大東流合気柔術師範役としてのたたずまいがよくて、本当に達人に見える。

映画のストーリーとしては地味かもしれない。ショッキングな出来事がいくつも起きるにもかかわらずだ。
武道を題材にしてるわりに大きい見せ場がない、というかんじだからかもしれないが
最後にスカッとする場面が用意されてはいます

ネタバレでもないだろうから言っちゃうと、主人公は事故で車椅子生活になってしまうんだけど、そのことを変に憐れんだり、特別な人間としてあまり描いてないのがいいんだよね。

それもあってか、終わったあともさわやかな感動が残り、お涙頂戴になってない。
しかし主人公の加藤晴彦最近みないなあ。なんかあったんだっけ?

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守銭奴見習い