お母さんの結婚

劇場公開日:

解説

日映の劇映画製作第一回作品。法大、立大の仏文学講師池田和夫が東宝の脚本第一期生としてはじめて書いたオリジナル・シナリオによって「嫁ぐ今宵に」の齋藤達雄が二度目のメガフォンをとっている。撮影はニュース・カメラの白井茂、音楽も映画に初登場の中田喜直(芥川也寸志と同期)である。「愛情について」の二本柳寛、藤原釜足、千石規子、「母と娘(1953)」の坪内美子、の英百合子、また「嫁ぐ今宵に」の子役加島春美、斎藤監督の姪の小林すみ子などが出演している。

1953年製作/66分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1953年7月1日

ストーリー

健一にはお父さんがいない。だから彼の仲好しは同じく母子家庭のエマと、親なしの仔犬である。ある日、犬の血統のことから子供同志の口喧嘩となり、健一はいないお父さんにみんなの前で電話をかけなければならなくなった。でたらめに廻すダイヤル--彼の目にくやし涙が湧こうとする。たまたまその電話の相手、つまり仮の父親となってくれたのが野田商事の課長岡田宏だった。彼は三十六才、妻と子を相次いで亡しているが、上役や同僚のすすめる再婚話には耳もかさない。しかし健一との交渉で彼はにわかにあたらしい生き甲斐を感じはじめた。その誕生日祝いにグローヴをおくったりする。いつか岡田と、健一の母澄江は健一を媒ちに暖かい愛の通うのをかんじあった。澄江の老父、額縁作りをなりわいとする留吉や母のたけ、そして妹の葉子も二人が結ばれることを願うのだったが、意外にも、今になって健一は独占してきた母の愛を岡田に奪われるような、一種の不安におそわれている。殊に北海道栄転のきまった岡田が澄江に求婚してからというもの、健一は母を奪いとる彼が憎らしいのである。澄江が家の者とも計って結婚承諾をしたと知ると、彼は悲しみに憑かれて家を遠く自転車を走らせ、いつか迷い子になって警察に保護される。澄江は岡田との結婚をあきらめる気になった。--岡田が札幌へ立つ朝。上野に見送りに出た澄江母子に、岡田は「いつまでも待ちますよ」という微笑をしてみせた。汽車が徐々に動き出し、やがて速度を加えてゆくにつれ、なぜか健一の面持が変っていった。突然彼は叫んだ「おとうさあん!」。澄江はふっとなみだを感じた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る