歌舞伎役者片岡仁左衛門・登仙の巻

劇場公開日:

解説

8年という歳月をかけて、歌舞伎役者・片岡仁左衛門丈の舞台から私生活に至るまでの姿をフィルムに収め続けてきた羽田澄子監督による、日本映画史上空前の長編ドキュメンタリーの最終章。平成3年11月の京都・南座の顔見世興行から、平成6年3月26日に90歳で登仙するまでを綴る。芸術文化振興基金助成作品。94年度キネマ旬報文化映画ベストテン第2位。16ミリ。

1995年製作/158分/日本
配給:BOX東中野
劇場公開日:1995年12月23日

ストーリー

平成3年11月、新装なった京都・南座の顔見世興行に立った仁左衛門丈は、石川五右衛門の伝記を描いた『楼門五三桐』で五右衛門を演じる。見せ場は、南座に初めて作られたおおぜりを生かした第二幕『山門』、五右衛門の出生の秘密が明らかになるくだりだ。仁左衛門丈は、堂々たる風格と演技で観客を魅了する。続いて平成4年2月には同じく南座において『江戸絵両国八景/荒川の佐吉』で真山青果賞を受賞した相模屋政五郎役を、同年10月には名古屋・御園座にて『元禄忠臣蔵/御浜御殿綱豊卿』で新井勘解由役を、また文化功労賞を受賞した後の11月には歌舞伎座にて『楼門五三桐』で五右衛門役を、12月には南座で連続出演40回を迎えることとなった顔見世興行の『菅原伝授手習鑑/車引』で息子・孝夫と車引を演じて、精力的な活躍をみせる。またその興行後、近くのホテルで喜代子夫人との62回目の結婚記念パーティが催された。晩年、視力の著しい衰えに悩まされていた仁左衛門丈の優しさをうかがわせるエピソードなどが語られる。明けて平成5年2月には東京・明治座の柿落とし公演の『寿式三番叟』にて翁を舞う。正月からこじらせていた風邪をおしての出演だった。3月には同じく明治座にて『寿曽我対面』の工藤祐経を演じ、更に新装開場披露の口上も務める。4月、歌舞伎座にて『御浜御殿綱豊卿』で新井勘解由を演じるが、その時の宿泊先のホテルで『鬼一法眼三略巻/奥庭』をやってみたいという夢を語る。そして8月、京都嵯峨の自宅にて喜代子夫人相手に、11月の南座の顔見世興行のための『奥庭』の科白稽古が行われた。そんなある日、“芸談をきく会”の人たちが仁左衛門丈宅を訪問する。彼女たちに、南座での顔見世興行についての話や、70年前に観た帝国劇場での『奥庭』のことや、それに出演していた七代目松本幸四郎の想い出を語る。仁左衛門丈と喜代子夫人の面倒をみているのは娘の蓉有子さんと静香さんで、揚げ物が好きだという仁左衛門丈の食生活のことや、年をとって可愛らしくなってきたという父のことを語る。そして、夫・千代之介について語る喜代子夫人。11月、南座で念願の『奥庭』を演じた仁左衛門丈は、続く12月16日『八陣守護城/湖水御座船の場』の佐藤肥多守正清役で南座の舞台に立つが、それを同月の22日までつとめた94日後の平成6年3月26日、自宅でその生涯を閉じる。満90歳だった。墓地は池上の本門寺。命日には墓に詣でる片岡家の人々の姿があった。

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