劇場公開日 1948年10月18日

「名演技と、素晴らしい脚本、的確な演出 なるほど日本映画史に残る映画だと納得です」王将(1948) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0名演技と、素晴らしい脚本、的確な演出 なるほど日本映画史に残る映画だと納得です

2021年1月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

♪吹~けばー飛ぶようなー、将棋の駒に~
誰もが知るこの歌は、本作が元々のモチーフ

本作は1948年公開、歌は1961年の村田英雄の大ヒット
ですからその歌は本作では流れません

有名なその歌は、大ヒットを受けて製作された1962年の2回目の映画化に主題歌となっています
村田英雄本人も出演しています

王将は、本作いれて3回映画化されています
本作は最初の映画化の作品です
3作品とも伊藤監督です

元々は新国劇の1947年のヒット作の映画化です
実在の人物坂田三吉がモデルです
その彼のエピソードを取り混ぜて大幅に脚色されたものだそうです
その彼は1946年に亡くなっていますから、翌年には新国劇、翌々年には映画化となったわけです

将棋なんか映画にはならんやろ~?
誰もがそう思ったはずですが、将棋の事が全く分からなくても大変に面白く楽しめます
つまり脚本が大変に優れています

阪東妻三郎の名演技、水戸光子の薄幸さと健気さ、若い時の三條美紀の可憐さ
どれも見事

ストーリーも大変に面白い
前半の見所は、小春のあの有名な台詞です
「あれだけ好きで好きでたまらん将棋をやめなはれというのは無理や、わてほんまに悪い嫁はんやったやったなあと思う、堪忍しとくなはれ、そのかわり、そのかわりな、指すからには日本一の将棋指しになって欲しい」
まずこのシーンで痺れます、涙腺が緩みます

中盤からはもう身を乗り出して観てしまいます
有名な二五銀のエピソードに続く、勝負に勝って将棋に負けたとの大意の涙ながらの珠江の糾弾の台詞は本作の後半にあります
三條美紀の伝説の熱演です
そして続く鏡に写る顔のシーンの演出の素晴らしさ!

将棋には「王将は二つあるが、勝ち残るのは一つや!それが名人じや!」のシーンの感銘
クライマックスの関根名人位襲名披露宴のシーンの感動
そして病に臥せる小春への電話越しでのお題目は涙が溢れます
そして夕闇迫る天王寺の破れ長屋のラストシーンの快い余韻
どれもこれも深く心に残るものです

名演技と、素晴らしい脚本、的確な演出
なるほど日本映画史に残る映画だと納得です

山田洋次監督の「おとうと」など多くの作品で、王将が取り上げられています
一般教養としても本物の王将とは何かを知ることは意味があります

そしてなにより映画として大変に面白く優れています

あき240