劇場公開日 1950年6月3日

白い野獣のレビュー・感想・評価

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4.0身体を売った結果について

2023年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1950年。成瀬巳喜男監督。摘発された街娼を社会復帰させるための施設(寮)に、新入りがやってくるが、その新入りは自分の身体を自分で好きなように使って何が悪いと開き直り、規則も無視してやりたい放題。しかし、理知的な寮の女性医師に惹かれていく。一方、寮内での勢力争いの中で、梅毒によって狂気におちいる女性も現れ、恐怖が広がっていく。
戦後社会において身体を売る女性たちと彼女たちへの周囲の視線を踏まて、主体的に生きることを模索する。貧困からだけでなく、戦中に戦争慰安婦だった者もいるし、兵士となった婚約者が帰還しなかった者もいる。そんななか、自分の欲望のままに身体を使えばいいと割り切る主人公。戦争は終わり、兵士は帰還し、売春の結果として梅毒にもなれば、妊娠もする。結果を引き受けるそれぞれの女性たちの姿が悲しい。
女性医師の飯野公子が凛として美しいが、仕事をしながら会話になるときに鉛筆をもてあそんでいる。会話の内容とは関係なさそうで、どこか他人に正直になれない人のような、常に嘘をついている自分を自覚しているような、不思議な印象。
不思議なのは、明らかに同性愛的な傾向から女性医師に惹かれていた主人公が、突然、男性寮長に惹かれ始めること。梅毒の進行によって神経をやられていくことと並行しているように描かれている。これは性的指向の変化なのか、病気の進行なのか。いずれにしても身体のコントロールを失っていく主人公の姿が切ない。

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