裁かれる愛情

劇場公開日:

解説

松竹で「街の野獣」「地獄の顔」等を発表した柳川真一の脚本を「お夏清十郎」「滝の白糸(1946)」「天下の御意見番」等の木村恵吾が監督、キャメラは「婦人警察官」の武田千吉郎が当る。出演者は岡譲二の登場に東宝の菅井一郎が特別出演、それに新スターの日高澄子が抜擢されて主演する。その他小柴幹治、丸山英子、原聖四郎らの出演。

1947年製作/80分/日本
配給:大映
劇場公開日:1947年9月2日

ストーリー

被告鳥養美也はなおも沈黙。検事の論告は鋭く続けられるが、被告美也の冷く結ばれた唇に表情一つ動かない。そのまま検事の論告は終り一旦休憩、後は判決を待つばかり。美也は控室へ戻ってもおし黙ったままである。運命の糸のごとく、窓外に降続く雨は、彼女の胸にその過去を浮ばせる。美也は弟次郎の病気を治すためダンサーになっていたが、それでもその費用には追つけなかった。その頃、とうとう滝の財布に手をかけてばれてしまったが滝の好意で事なく救われた。そうした美也が、療養所にかけつけた時、次郎はもう死の扉の前に立ち、姉の来るのを待っていた。そして「卑しい職業だけはしないでくれ」とたった一言残して死んでしまった。美也は狂わんばかりに嘆く。滝は捨ばちになっている彼女の上を気づかい、由利の会社に職を斡旋してやった。それから美也は滝に心が動き、滝も美也が好きになってきた。しかし滝の理性はそれを許さず彼女を由利と結婚させようとした。美也は思いがけない話に崩れ去ろうとする夢を抱えて会社を飛び出し、横浜のバーで働く、その頃滝は参議院議員に立候補したが、彼と美也の仲を知った横浜の顔役戸川は滝を騙して金を貰い、その晩景気よく飲んでいた。それを知った美也は戸川を屋上に呼び出し口争いをしていたが、戸川は非常ばしごを踏み外して墜死してしまった。しかしこの事実を言えば滝の選挙を不利に導くだけだ。美也の吐息と共に休憩終りのベルが鳴る。再び美也が被告席に着くや、そこには証言を求めて立つ滝の姿があった。そして沈黙の裁判は急転し、滝の証言は被告を有利に導く。

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