壮士劇場

劇場公開日:

解説

「おかぐら兄弟」に次ぐ稲垣浩の本年度第一回監督作品。脚本は「婦人警察官」「龍虎伝」の八尋不二、撮影は「手袋を脱がす男」「槍をどり五十三次」の宮川一夫がそれぞれ担当した。「国定忠治(1946)」に次ぐ阪妻、「今宵妻となりぬ」の入江たか子、松竹「深夜の市長」の月形龍之介らが出演する他、新人日高澄子がデヴューする。

1947年製作/89分/日本
配給:大映
劇場公開日:1947年5月6日

ストーリー

明治中期岡山の貧乏士族角藤定憲は青雲の志を抱いて上京、中江兆民の主宰する自由党の傘下に参じた。自由民権の思想を普く一般人民に普及させるべくやがて彼は壮士芝居を創始する。彼の故郷の許婚竹野は彼のこの行動を悲しんで東京の華族の許に嫁してしまう。角藤は初志の通り大阪で壮士芝居の幕を開いたが官憲の圧迫と、物質的窮迫のために彼の劇団は幾春秋も苦しい試練をなめて行かねばならなかった。ついに旅路の果てで解散の憂目にあった角藤は中江兆民に呼ばれ、「苦難あってこそ開拓者の生命がある」と激励され奮起して再挙を計る。同志を結合して血を吐く思いの旅を続け、一座は北海道に渡ったが、そこにも悲運が待ち構えていた。一座が解散しなければならなくなったとき、角藤のたくましい理想への闘士に心惹かれていた酌婦さつきは、自分の身をかたにした金と形見の鏡を角藤に与えて奥地へ渡って行く。苦闘の幾年。やがて彼らの努力の報いられる日が来た。明治三十四年東京初公演が「市村座」で開かれた。しかしこの感激の日はまた、中江兆民が死ぬ日でもあった。公演は絶賛りに日を重ねていった。報いられた悦びを祝う角藤たちの祝宴の席にひびいて来る門づけの夫婦の歌声があった。“やぶれ障子と私の権利 はらざなるまい秋の風”中江兆民が敗惨の日の角藤に送ったあの歌ではないか。飛び出して行った角藤の目に写ったのは盲人の杖をひいて歌うさつきの姿であった。

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