地獄の顔

劇場公開日:

解説

菊田一夫原作『長崎』より、「鸚鵡は何を覗いたか」に次ぐ大曾根辰夫監督作品。

1947年製作/80分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1947年1月28日

ストーリー

順三は船員上りのならず者で、上海の魔屈を根城に蘇州の鉄を弟分として悪事を働いていたが、傷を受け危いところを栗原先生に救われてから、ぷっつり足を洗う。栗原は順三を長崎へ連れ帰り育児院「希望の家」で子供たちの世話をさせる。栗原の温情と保母みち子の純情によって、彼は更生の一途を辿った。ところがいつか長崎へ舞い戻った蘇州の鉄は、是が非でも順三を阿片密輸の仲間に加えようとして、あらゆる陥井を設け、ついに彼をのっぴきならない世界に追い込んでしまう。ところが自暴自棄の彼に鉄の女房お浜が好意を示したことが原因となり、順三は嫉妬の鉄に撃たれる。そしてそこへ呼ばれた老医師は、先頃順三が上海に売り飛ばすために誘拐した娘の父親貝塚であった。貝塚は順三が想像した通り憤然として手当をせずに去ろうとするが、折から教会から流れてくる鐘の音に思わず憎しみを越えた愛情をよみがえらせ、順三に手当を加え、彼の生命をとりとめる。順三は、始めて人間の幸福の所在をはっきりと知る。彼は折から長崎を出帆する船に、密輸阿片を積み込み、誘拐した女たちを送り出そうとしている悪漢の本拠へ乗り込み鉄たちと闘う。彼は重傷を負うが、鉄一味もかけつけた警官隊に捕われた。死に瀕した傷の痛みを耐えながら、順三は栗原やみち子のいる懐かしい「希望の家」に辿り着いた。

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