東京午前三時

劇場公開日:

解説

フランク永井のヒットソングを織りこんだ歌謡映画。「第3号倉庫」の山崎巖脚本を、「船方さんよ」の小杉勇が監督、「海女の岩礁」の山崎安一郎が撮影した。出演者は、待田京介・フランク永井・南寿美子に新人・中村万寿子など。

1958年製作/93分/日本
配給:日活
劇場公開日:1958年11月12日

ストーリー

ある夕方、東京丸の内のあるビルの前に、一人の男が車から降り立った。冷酷な影の深い顔立ちの男である。槙隆次といい、網走帰りのヤクザである。神戸で暗黒街のボス・ウィリアムに世話になった。その手下・ハリーが指命を持ってき、彼は“殺し”を受け負ったのだ。ビルの五階に、パシフィック商事があった。社員たちは退社して一人もいない。社長室から聞えてくる声をきいて、槙はニヤリとした。殺しの相手は社長の若槻なのだ。ドアーを開くと、若槻の姿はなく、若い娘がテープから流れる若槻のメッセージをタイプしていた。女は若槻の娘・冴子と名乗った。父は香港旅行中だという。冴子は理智と優しさの入り混った印象を槙に与えた。彼はしばらく彼女を見つめ、それから身を翻らせて去った。足はいつしか銀座へ向いた。クラブ“シセロ”のマダムは懐しがった。槙の弟分・フランクが流しをやめて堅気になろうとしていると聞いて、彼は喜んだ。--昔、網走に行く前は、彼は銀座の“タマ抜き屋”だった。バーやキャバレーの女給周旋業である。道子という女がいた。いくら冷くしても、彼を慕いつづけた。道子はフランクと一緒に花屋を開こうとしているという。槙がフランクを探しあてたとき、フランクは地廻りに借金のカタに女をだせと脅されていた。槙は彼を救ったが、駈けつけた道子とバッタリ会う。「フランクはあんたみたいな不人情と違うわ」彼女は泣き伏したのである。槙はいたたまれず、“シセロ”へ行った。フランクの店開きの金を工面してやろうとする。数日後、若槻が帰ってきた。彼は乾分を使って若い娘を誘拐して“シセロ”の地下倉庫に監禁し、香港ルートで人身売買を行って巨利を得ていることを、槙は調べた。ウィリアムとのいざこざがハリーの槙への指命となったのを彼が知ったとき、すでにハリーは若槻の子分に殺され、死体となっていた。槙は再び冴子に会った。二人の間に何かが燃え上った。恋人の父を拳銃で撃たねばならぬとは。槙は初めて悩んだ。彼の部屋で、二人が抱き合ったあと、彼は彼女に別れ話を持ちだした。悩んだ挙句の愛想づかしである。その時、若槻一味が彼を襲ってきた。「冴子!」叫びながら槙は逃げた。乱闘。結局、若槻はウィリアムの車に背後からひかれて死んだ。--槙をフランクと道子が迎えに来た。冴子が嗚咽しながら見送る。「終ったんだ、あの娘と俺は」槙は遠ざかる車の中でつぶやいた。

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