慕情の河

劇場公開日:

解説

中山正男の原作から松田昌一が脚色、「新・平家物語 静と義経」の島耕二が監督する音楽篇。撮影は「婚約指輪」の小原譲治。主な出演者は、「いとはん物語」の鶴田浩二、「銀河の都」の若尾文子、「四十八歳の抵抗」の川口浩、「君を愛す」の八潮悠子、ほかに見明凡太朗、潮万太郎、杉田康、夏木章、直木明、永井ミエ子など。

1957年製作/82分/日本
劇場公開日:1957年2月5日

ストーリー

隅田川に沿った工場街。ここの工場に働く青木順と村越美代は音楽が好きで、順はチェロを美代はヴァイオリンを一応ひきこなす程の腕前だった。戦後間もなく、名チェリストであり指揮者としても有名な橋田洋介がやってきて、各工場の音楽好きな人を集めてオーケストラを作ることに努力し始めた。工場主や工員等も彼の熱心さに感動、今ではオーケストラの練習場も出来ていた。だがチェロの天才少年として皆の期待を集めている順だけは、仲良しの美代の願いにもオーケストラに加わろうとしなかった。しかし橋田は彼の才能を惜しみ、順の結核が重症と知ると、自分がアルバイトした金で転地療養させたりするのだった。順の父はかつて同じチェリストとして橋田とコンクールを競い、破れて自殺したのだが、それを知った美代は、橋田の美しい気持を説いて聞かせた。こうした美代の努力に、順も頑な気持を解くが、オーケストラは昼間の仕事疲れでメンバーは減るばかり。演奏会の許可が取れた時には工場主達も協力を示さず、橋田はいつか必ず帰ると美代に約し、中央楽壇へと帰り咲いていった。だが、この頃最早チェロと別れて暮すことが出来なくなっていた順は、気のくじけたメンバーを説き廻り、オーケストラを再編成して橋田を迎えに行ったが、彼は来ようとしなかった。偽善者と橋田をののしる順は、愛する美代の心が橋田の上にあると知り、驚きと怒りに美代をふり切って飛出す。後を追う美代は車にハネられ、先生はきっと帰ってくる、と言い残して眼を閉じた。彼女の死体を抱き練習場に帰った順は、そこに見出した橋田を涙と共にののしった。江東の錦糸公園で第一回の演奏会が開かれたのは、それから間もなくだった。東都交響楽団に混り順は第一チェロを、そして第一ヴァイオリンの席には美代愛用のヴァイオリンが置かれていた。やがて橋田洋介のタクトで交響楽は開始。美しい音色は隅田川を渡り、雲の上の美代に届けと響いていった。

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