しあわせはどこに(1956)

劇場公開日:

解説

“平凡”に連載された小糸のぶ原作の映画化。ヒロイン淳子の辿る哀歓の人生航路を描くメロドラマである。「続ただひとりの人」の池田一朗が「東京の人」の西河克己と共同脚色し、西河克己が監督、同じく「東京の人」の横山実が撮影を担当。主な出演者は「続ただひとりの人」の葉山良二、「黒帯有情 花と嵐」の芦川いづみ、「燃ゆる黒帯 花の高校生」の小園蓉子「おんな船頭唄」の堀恭子、宍戸錠、「名寄岩 涙の敢斗賞」の山根寿子など。

1956年製作/79分/日本
配給:日活
劇場公開日:1956年7月19日

ストーリー

孤児の橋爪淳子は伯父省吉の家で世話を受けている身の上だが、省吉はのんだくれで、執拗に彼女につきまとい、淳子は危く彼の毒牙を逃れることもしばしばだった。淳子は芝田建設の入社試験を受けた折、両親のないため入社できぬ処を業界の大立物矢沢慎太郎の目にとまったことが機縁で、彼の計いにより入社し、芝田専務の秘書見習となるが、秘書亀田紀代子の羨望をかった。淳子は、やがて青年社員の松尾吾郎、同僚志村らと知り合い、一日、相模湖へドライヴに出かける。明朗な松尾との交際は彼女の暗い気持を明るくしたが、色魔の志村に彼のアパートで襲われかけた処を、駈けつけた松尾に救われた。アパートを飛び出した淳子は親切な矢沢の慰めに心も柔いだ。こうした折、立退料を一人占めして引越する省吉の後を追った伯母かねは自動車事故で死ぬ。だが死際のかねから、死んだと信じた母親ふみ代は、戦時中殺人を犯した過去を恥じて身を隠しているのだと聞いた淳子は、母を探して大磯の療養所を訪れた。母は姿を消していたが増築工事に来た松尾に会い、その激励を受ける。しかし省吉の許に淳子の荷物を取りに行った松尾は彼女の母の前科を聞かされ暗い気持になるのだった。だが勇を鼓した松尾は淳子に結婚を申し込み、承諾を得るとその足で鳥取に出張したが、向いの席に腰掛けた女が淳子の母ふみ代とは知る由もなかった。矢沢が彼女の身体を求めていることを当の淳子は露知らず、その夜も、矢沢の家に泊ったが、女中キクの計いで事なく済む。数日後、松尾から母親が鳥取にいると電報を受けた淳子は急行し、料亭“かもめ”で働く母に会った。お互に母娘と名乗れぬまま矢沢の家に戻った淳子は密室で彼に襲われる。だが矢沢はキクの手で階段から突き落されて死んだ。以前、矢沢と誤ちを犯した過去を持つふみ代も今は晴れて上京し、松尾の下宿には明るく笑い合う三人の姿が見られた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5スクリーンを観ながら感動の涙

2023年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

神保町シアター「恋する女優 芦川いづみ」特集上映にて鑑賞2本目🎥

こんなに楽しい映画をスクリーンで観ることが出来て、とても嬉しい‼️
スクリーンを観ながら感動してボロボロ涙する……幸せ。

物語は、薄幸女性を芦川いづみが演じて、さまざまなツライ出来事が起こるが、幸せな出来事もあり、そのギャップに感動させられて涙してしまう佳作。
芦川いづみが、ホントに可憐で、ついつい「幸せになって欲しい」と思ってしまう。

ある会社の入社試験(面接)シーンから始まる。芦川いづみも面接を受けるが「両親がいないから、この会社もダメかな…」と心配している。面接会場から出た所で、ロマンスグレーの年配男に会ったのが良い方向へ…。
入社してみると、専務室秘書として仕事する芦川いづみだが、ロマンスグレー(会社の取引先のお偉方)にも会社の男性社員にも人気なので、先輩秘書が意地悪の権化(笑)

先輩の男性社員2人に誘われて相模湖ドライブに行く芦川いづみ。
ここで「湖畔を走る自動車の流れるような空撮」⇒「湖面を走るモーターボートを追う撮影」が一連のシークエンスとして描かれるあたりは、ともに「右から左へ走る(車とボート)」なので極めて自然にフィルムが繋がれた雰囲気に見えるが、素晴らしい場面だった。

その後、会社の先輩男性にいきなりキス迫られる芦川いづみ、両親なかったので育ててくれた叔母の事故、母が生きている?、刑務所や大磯を訪ねる芦川いづみ、「人殺しの前科者」、感動のプロポーズ・シーン、鳥取砂丘などなど…。
(キーワード記載、肝心な事は未記載)

しかし、この映画は確かに芦川いづみ主演作であるが、彼女の叔父を演じた殿山泰司が見事なほどの「エロおやじ」…(笑)
さすが、大島渚監督の『愛のコリーダ』では「道端でチ○チ○を丸出しにして、子供達にそれを突かれる場面」を演じただけある(笑笑)

ところどころで「出来過ぎ」なところもあったが、なかなか素晴らしい映画であった。
西河克己監督作品。

<映倫No.2375>

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たいちぃ
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