母子像

劇場公開日:

解説

第二回世界短篇コンクールで一等を獲得した久生十蘭の同名の原作を「愛」の植草圭之助が脚色、「「石狩川」より 大地の侍」の佐伯清が監督した文芸篇。戦争という運命に流されながらも滅びぬ母と子の美しい愛を描くヒューマンな物語。撮影は「龍巻三四郎」の藤井静。主な出演者は「夕やけ雲」の山田五十鈴、「天国はどこだ」の木村功、「頑張れゴンさん」の三条美紀、星美智子、「げんこつ社員」の三笠博子、「雪崩(1956)」の中原ひとみ、「若さま侍捕物帳 地獄の皿屋敷 べらんめえ活人剣」の山手弘など。

1956年製作/87分/日本
劇場公開日:1956年6月1日

ストーリー

昭和二十六年の或る朝、米軍基地で自殺を計った少年が厚木警察に保護された。彼は吉村婦警の質問にも答えず、佐藤刑事の訊問で、やっとサイパン生れの和泉太郎と答えた。太郎は刑事の拳銃を奪って自殺を計り、重傷を負った。病院に収容された彼は、うわごとのように「ママ、ママ」とくり返した。太平洋戦争も末期のサイパン島。米軍の上陸をきいた太郎と母ユキ子は、隣の娘矢田信子と岬へ逃げた。洞穴に潜んだユキ子は、日本軍敗北の報を聞き自決する人々を見て自分も死のうとして太郎の首にスカーフを巻きつけた。だが気絶していた太郎は、米軍情報将校清水に救われた。日本に引揚げた太郎は靴磨きになったが、横浜で母にそっくりの女を見た。或る日、太郎を探し求める清水が現われ厚木のキャンプに連れて行った。親切なメードの百合子に太郎は幸せだったが清水はやがて朝鮮戦線で戦死した。太郎はグラフ雑誌の中に母とそっくりの女を見出した。しかし訪ねる女は新橋でバーをやっていると聞いてバー・ヴィーナスに赴き、マダムの横顔に母の面影を見出して思わず「ママ!」と叫んだ。サイパンで身を汚されたユキ子は、今は米軍相手の売春婦をやっていたが現在の生活を我子に知られまいと強いて太郎を振り離した。だが、ふとしたことで母の境遇を知った太郎は母に対する嫌悪に駆られ、絶望の末、追いすがる母を振り切って懐しい清水の宿舎に行き、自殺を計ったのだった。病室の太郎は、うわごとを続けながら吉村婦警に見とられて息を引き取った。その頃、ユキ子は佐藤刑事に太郎の危篤を知らされ、自らを責めて泥酔の揚句、海に身を投じた。

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