秘密(1952)

劇場公開日:

解説

中村八朗のオール読物所載小説『朝餉の歌』を「丘は花ざかり(1952)」の井手俊郎が脚色、「二つの処女線」の久松静児が監督するホーム・ドラマ。「二人の瞳」の高橋通夫、「モンテンルパの夜は更けて」の斎藤一郎がそれぞれ撮影、音楽を担当している。出演者は「慟哭」の千田是也、「おかあさん」の田中絹代、「泣虫記者」の宮城野由美子、「明日は日曜日」の若尾文子、「美女と盗賊」の東野英治郎、「巣鴨の母」の船越英二、新映プロから大映新入社の三田隆(旧名・重光彬)など。千田、東野の他、入江洋佑、本郷淳が俳優座から参加出演している。

1952年製作/93分/日本
原題:Her Secret
配給:大映
劇場公開日:1952年11月27日

ストーリー

主婦のいない槙家に仕えて十六年、献身的で心の優しい女中の美代は、ミッション・スクールの校長である主人信太郎、父の学校に通う次女眞梨子や長男秀樹などの暖かい愛情と信頼を受けていたが、何故か長女の由紀子だけは彼女によそよそしかった。由紀子はまた自分に向けられた会社の同僚、富田次郎の清純な慕情をも頑なにうけつけなかった。--と、そんな或る日、顔を蒼白にした彼女は家へ倒れこみ、往診の医師によって掻爬手術の不結果と診断された。美代の真心こめた看護のおかげで、由紀子は信太郎にも気づかれることなく、四、五日後には生色を取り戻したが、すでに自分の秘密を握っている美代の存在が前にもましてけむったく思われた。その兄丈之助が持込んだ美代の縁談をきっかけとして父信太郎は永い間の美代への愛情を打ち明け、彼女との結婚を子供達に提議したが、由紀子一人の依固地な反発に遭って不可能となった。美代が郷里へ帰ることになった前日、かつて由紀子を犯した不良の水上がゆすりにやってきた。芯からの怒りに身を震わせる美代。--由紀子の心は始めてひらき、美代のうちにまぎれもない「母」の姿を発見した。

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