貞操の街

劇場公開日:

解説

「伊豆物語」「のど自慢三羽烏」の館岡謙之助に、岡田豊、笠原良三が協力して書いた脚本を、「私はシベリヤの捕虜だった」の志村敏夫が監督し、「恋文裁判」の竹野治夫が撮影を担当している。出演者は「旗本退屈男」の宮城千賀子、「夢よいづこ」の月丘千秋、「高原の悲歌」の立松晃、その他龍崎一郎、進藤英太郎、ディック・ミネ、田崎潤、古川緑波等で、特別出演として水の江滝子、久保幸江、春田美樹、矢田茂バレー団が出演している。製作は松本常保。

1952年製作/72分/日本
劇場公開日:1952年6月5日

ストーリー

歌謡曲界の花形鈴木玲子は、生死すら分からない愛人佐野健司を求めて大阪にやって来た。だがその頃健司は妖艶なアプレ娘のために転落し、官憲に追われていた。そうした時、彼女に好意を抱く少壮実業家秋本省三の人間味あふれる態度は、彼女の心を強くひきつけていった。秋本は事業不振のため援助を求めて大阪に来ているのだったが、彼の今までの誠実さはことごとく裏切られ、玲子と会う一時にだけ彼は幸福を味わうことができた。だがそれも、玲子に敵意を持つルミの出現によって破られた。そして旬日、キャバレーのルミの所へもう一度彼の元に帰るように哀願に来た健司を見て、玲子は愕然とするが、一切を諦め、ルミに健司の幸せのために彼と一緒になってくれるように願った。しかしルミは冷たく一蹴するのであった。その夜健司に会った玲子は、昔のように明るく強く生きることを強調するが、健司はもはや玲子の言うことを素直に聞く人間ではなかった。醜いこの世の中でひたすらまことを信じて生き続けてきた秋本と玲子は、現実の嵐に踏みにじられて希望を失い、一度は自殺まで考えたが、寸前で強く生きなければならないことを悟り、各々再会を約束し、再び希望を求めて波荒い人生航路に就いていくのであった。

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