警視庁物語 深夜便一三〇列車

劇場公開日:

解説

おなじみ警視庁物語シリーズの第十二話。「リスとアメリカ人 廃虚の銃声」の長谷川公之が脚本を、「空は晴れたり」の飯塚増一が監督した。撮影は「拳銃を磨く男 あの女を探せ」の高梨昇。

1960年製作/80分/日本
配給:東映
劇場公開日:1960年1月27日

ストーリー

汐留駅の倉庫の片隅に、荷主、荷受人ともに不明のジュラルミン・トランクが一つ光っていた。腐敗臭がひどい。開けると、女の死体が出た。死体の目からはコンタクト・レンズが摘出され、解剖の結果、絞殺死、年齢三十歳前後、肋膜を患ったことがある等が判った。トランクの発送先が大阪天王寺駅であったことから、トランク詰殺人事件捜査本部は東京と大阪に設置された。天王寺駅でトランクを受附けた者の証言では、二十五、六歳色白の男が、野球帽の少年を伴い、リヤカーで運んで来たという。さらに、梅田駅の倉庫係の証言によれば、色白の男が隅田川駅から梅田駅に到着したトランクを引取りに来たこと、そして同じ日に、やはり色白の男が天王寺駅から汐留駅にそのトランクを送っているという。タクシー運転手の口から、重いトランクを茶臼山の近くまで運び、茶臼山に遊ぶ野球帽の少年がリヤカーを貸し、トランクを天王寺駅まで運んだことも判った。殺された女の身許が判明した。草間文子といい、化粧品セールスのため関西に出張するといい、行方不明、過去に肋膜を患い、銀行預金五十六万円を持っていた。が、そのうち五十四万円が引出されていた。二十五歳位の色白の男によってだ。長田部長刑事、山形刑事は、隅田川駅へトランクを運んだ男を挙げた。隅田館というアパートから二十五歳位の男に頼まれて運んだという。隅田館に踏みこんだ時には、その男は姿を消していた。管理人の話では、男は吉村春夫といい、化粧品セールスの女が出入りしていたという。吉村の友人から、花山あや子という恋人がいたことも知った。あや子のアパートに張込みを続け、逃亡寸前の彼女を捕えた。吉村とともに、九時三十分の東京駅発、筑紫号で博多へ逃亡を企てたのだ。待合せ場所は熱海。すでに列車は熱海を出ている。あや子を忘れられない吉村は、上り列車に乗っていることが分った。終着駅東京で、吉村は捕えられた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5松村達雄のセリフは聞き取りづらいね

2022年5月18日
Androidアプリから投稿

鮎川哲也の「黒いトランク」を思わせる序盤の展開は大変面白い。後半の犯人を追い詰める部分はそれまでに比べると若干盛り上がりに欠けるように感じたが、見ごたえはある。

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Mr. Planty

5.0宅配殺人鬼?走査線。古い景色やディテールが面白い。

2020年6月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

汐留駅の貨物預かり場で、トランクに入った女の死体が発見される場面から始まり、身元調査の為に、三人の刑事が、配送元の大阪に派遣される。
当時の大阪にしか無いタクシーの話などのちょっとした地方ディテールが面白い。

殺された女の身元が判明するのにかなりの時間をかけた地味な捜査場面が、リアルに感じる。

女の身元が判り、容疑者が絞られていく過程で、別の女が絡み、終盤は東海道線での追跡と監視の連続で、終盤まで真犯人を見せない筋立ては、スリリング。

聴き込み、推理、張り込みと、特に過酷な夜間列車での移動や鉄道を利用した捕物と見所多くてとても楽しめた。

古い日本映画で見られる登場のちょっとした風景やディテールなどがとても面白いくて、個人的には、新東宝から移籍したキリヤマ隊長こと中山昭二の出番が多くのも嬉しい。

ただ疑問に思うのは、単独犯の男が、東京で殺した女をトランクに詰めて、貨物線で大阪に送り、大阪でまた東京に送り返したのが、時間稼ぎのつもりだったのだか、何故そんな危険な手間をかけたのかイマイチ理解に苦しむ。
金属製の重いトランクに死体詰めてたなら単純に海にでも捨てればいいのに。
余計な行動で、手掛りを残しているので。

あとこの映画の当時のポスターのコピーに犯人を殺人鬼と称しているが、殺したのは1人です。

池袋の新文芸坐にて企画特集。
「昭和の刑事が見た風景」の二本立てにて

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