殺すまで追え 新宿25時

劇場公開日:

解説

「めくらのお市物語 真赤な流れ鳥」の宮川一郎と「新宿育ち」の長谷和夫が脚本を共同執筆し、長谷和夫が監督したアクションもの。撮影は「恋の季節」の丸山恵司が担当。

1969年製作/91分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1969年4月12日

ストーリー

新宿署の刑事桧は、同僚安西の死に疑問を持っていた。しかし、坂上課長刑事や安西未亡人は、単なる自殺と決めつけ、真実をあばこうとする桧と対立していた。ある日、桧は安西と関係があった梨花を調べたが、その直後彼女は何者かによって殺された。安西の死にますます疑惑を深めた桧は、梨花の勤めていたクラブ・カトレアを捜査、事件の核心と思われる経営者の大滝に迫った。大滝は、桧を軽くあしらったものの、売春・密輪など悪事のばれることを恐れていた。そして情婦さとみを使っての色仕掛や殺し屋天童に命じた暗殺が失敗に終ると、桧に取引きを申しでた。それも拒絶された大滝は、すべての処理を坂上に頼んだ。その情報をさとみから知らされた桧は、大滝と坂上の関係をつきとめ、二人が安西を死に追いやったことを知った。桧は安西が遺書を残していると確信、早速未亡人の玲子を訪れた。やがてそこに同じ目的で坂上が現われ、夫の死を自殺と偽り遺書を金づるにしていた玲子との間に冷たい空気が流された。しかし、玲子は安西の復讐に燃える桧の執念には勝てず、ロッカーの鍵を投げだした。桧は、それを警察につきだすと、軽井沢へ逃避した大滝を追い決着をつけた。

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映画レビュー

5.0無断でリメイクされた?フリッツ・ラングの傑作が元ネタの「復讐は天知に任せろ!

2023年4月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

刑事の天知茂の同僚が高級マンションで自殺した事件を捜査するマイホームパパ(⁈)なのにハードボイルド刑事(?)の天知茂の辿り着い真相とは!

勝手なイメージだけど、天知茂にマイホームパパなイメージが、ないため新境地かな?と思っていたら奥さんが、天知の代わりに仕掛けをされた自家用車で爆死しする辺りで、デジャブが襲い、悪のボスでもある佐藤允が、情婦の顔にやかんの熱湯をぶッかける場面で確信したが、本作は「メトロポリス』や『M』などの傑作で、知られるフリッツ・ラング監督のフィルムノアール『復讐は俺にまかせろ』1952年(原題『The Big Heat』)をそのまま日本を舞台に置き換えている作品だった。

細かい違いは、あるが全体的にほぼ同じで、オリジナルではインパクトがあって、有名な描写でもある悪役のボス(リー・マーヴィン)が、嫉妬に駆られてて情婦の顔に、熱々のコーヒー☕️(おでん🍢ではない😀)をぶッかける場面と終盤に同じ事をやり返される場面があるが、本作はやり返えす場面はないなど画竜点睛を欠く(ワザと?)
オリジナルに無い点は、海岸線でのカーチェイス(空撮もあるが、画面がブレブレで微妙)や終盤の山の麓(劇中では大月の地名)で、佐藤允が逮捕される場面になっている。(完全な野外なので復讐の熱々ぶッかけが無いのこの為?)
オリジナルは、都会でボスの拠点でもあるビルのルーフバルコニーで行われる。(ここなら熱々のコーヒーがあるのも問題なし)

などの比較もしてしまうが、全体的には水準は配役や演出も悪く無いので楽しめるが、引用元のクレジットなどが本編や映画会社のチラシにも見た限り記載が無いので恐らく無断でリメイクされた?と思われる。擁護する訳では無いが、70年代くらいまで日本映画に限らず漫画や小説やデザインや工業製品などにも海外作品や製品の無断引用は、今と違い多々あり、受け手も何となく分かっていたが、余り問題視して無かった側面もある。
まぁ海外でも黒澤明の『用心棒』を無断盗用(後で和解)したマカロニウエスタンの傑作『荒野の用心棒』の例もあるし、関わってからスターや巨匠になったイーストウッドとレオーネ監督がいない映画史は、今では考えられ無い。

本作で目を引くのは、オリジナルには無い(当たり前か🤔)前記したカーチェイスの場面などがあり公開年月を調べるとカーチェイス映画の元祖的作品で金字塔ともいえるマックイーンの『ブリット』が少し前に日本公開されているのでそれに影響を受けた可能性は有ると思う。正直空撮も含めてクオリティは微妙だが、荒野の用心棒もそうだが、凡庸な盗用作品には無い部分は評価されるべきだと思う。

昔の日本映画全般にいえる点だが、当時の団地やマンションの比較や建設中の高速道路現場でのアクションなども割と新鮮にみれるのが、ロケ撮影の多い作品の利点でもある。
あと声優として名高い広川太一郎氏が俳優で出演しており天知と絡みや終盤の大月ロケ場面にも出番があるのは、広川太一郎マニア(結構存在する!)には抑えて欲しいポイント。ちなみにいい声なのですぐ分かったりしちゃったりなんかして!(広川節の真似)

フリッツ・ラングの傑作が元ネタの「復讐は天知茂に任せろ!」的な作品だが主役もシブイし悪役も良いので楽しめます。

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