新選組血風録 近藤勇

劇場公開日:

解説

小説中央公論連載・司馬遼太郎原作を「べらんめえ芸者と丁稚社長」の笠原和夫と「変幻紫頭巾」加藤泰が共同で脚色、「五人のあばれ者」の小沢茂弘が監督した剣戟活劇。撮影は「五人のあばれ者」の伊藤武夫。

1963年製作/94分/日本
配給:東映
劇場公開日:1963年5月12日

ストーリー

幕末風雲急を告げる元治元年六月、守護職松平容保の配下にあって京の治安を一手に委ねられていた新選組は、隊長近藤勇以下倒幕派の志士が結集する池田屋に凄絶な斬り込みをかけた。江戸深川、北辰一刀流の伊東甲子太郎が篠原泰之進他門弟を引き連れて新選組に投じたのはその年の暮だった。伊東は新選組を倒幕派に引き込もうとする下心を秘め、篠原は女と酒にひかれての京入りだった。慶応元年、新選組は総勢百五十名に達し、局長近藤勇、副長土方歳三、山南敬助、伊東は参謀に篠原は監察の任に就いた。慶応二年、薩長土三藩の連合体制成り、藷藩の勤皇浪士は競って上洛、一触即発を防ぐものは新選組あるのみだった。だが、新選組の内部でも伊藤一派が分離を申し出、篠原も近藤の信頼を得、彼の人間味にひかれながらも鉄の規則に反撥して脱隊した。慶応三年、伊藤以下は御陵衛士を拝命、新選組一同は直参旗本に取り立てられた。将軍慶喜は大政を奉遷、だが新旧勢力の衝突は収まらず坂本竜馬が暗殺されるに及んで対立は頂点に達した。篠原の反対にも関らず伊東派は近藤を暗殺、一挙に討幕の兵を挙げんとした。これを密偵から聞いた土方は、七条油小路において伊東を暗殺した。篠原は近藤が闇討ちをする男ではないと信じ死体引き取りのため油小路に向ったが、新選組の襲撃にあい血路を拓いて姿を消した。数日後、近藤は土佐海援隊の陸奥陽之助に書状を届け、坂本竜馬暗殺の件で話合いたいと一人天満屋で待った。その前に姿を現した篠原の剣は、しかし近藤の鉄の意志に満ちた言葉に動揺、次の瞬間には近藤に襲いかかった海援隊士を斬っていた。近藤の豪刀が阿修羅の如く荒れ狂い、救援に馳けつけた新選組と海援隊士の間に凄絶な死闘がくりひろげられた。これが新選組の最後の勝利の闘いであった。

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映画レビュー

4.0なかなかにハードで見応えがあります 特に終盤の七条油小路での伊東甲子太郎の暗殺から、小雪の舞い降る中の天満屋での激闘は凄まじいものです 映像としても美が感じられるものです

2022年11月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1963年5月公開、白黒作品

ご存知、司馬遼太郎の「新選組血風録」が原作
本作が最初の映像化作品です
原作の連載が前年の12月号で終わったばかりの公開でした
原作小説が単行本になるのは1964年になってからです

新選組は戦前の無声映画の頃からの忠臣蔵に並ぶ人気コンテンツですが、戦後のブームの火付け役はこの小説だと思います

原作小説は新選組の幹部や隊士が生き生きと描かれたオムニバスです
土方歳三や沖田総司が主要登場人物で、近藤勇は脇役としての登場が多いのですが本作では主役として位置付けられています
でも実は主人公は、江戸のから来た篠原泰之進で、彼の視点から語られます

本作は、いきなり1864年7月8日(旧暦6月5日)の池田屋事件からはじまり、1868年1月1日(旧暦12月7日)の天満屋事件で終わります

なかなかにハードで見応えがあります
特に終盤の七条油小路での伊東甲子太郎の暗殺から、小雪の舞い降る中の天満屋での激闘は凄まじいものです
映像としても美が感じられるものです

伊東甲子太郎役の安部徹がいい味をだしています

近藤勇は市川 右太衛門が演じます
北大路欣也のお父様です
実に堂々とした近藤勇になっています
1958年公開の「新選組」での片岡千恵蔵の近藤勇にかなり近いイメージになっています

蛇足
伊藤甲子太郎暗殺は1967年12月13日(旧暦11月18日)、坂本龍馬が暗殺された近江屋事件の3日後のことでした

年末12月14日は忠臣蔵で世の中は大いに盛り上がりますが、12月10日の近江屋事件、12月13日の油小路事件で盛り上がるのはやっぱり少数派かも?
赤穂浪士の討ち入りの12月14日は旧暦で1703年1月30日でした

暗殺場所の七条油小路は、京都駅からものの500m ほどのところ
遊廓のある島原からは東に1キロ程
島原はいまでは普通の住宅街ですが、微かな痕跡は残っています
近年大きな料理旅館がリノベーションされて、大浴場がスーパー銭湯として一般にも利用できるようになりました
新選組をモチーフにした店名です
新選組の史跡散策に疲れたあとの一風呂は最高です

竹生島の弁天様の御守り
琵琶湖の北端辺りに浮かぶ小さな無人島が竹生島です
JR 湖西線の近江今津駅のすぐ近くに遊覧船乗り場があります
そこから10キロ位ですから25分程で着きます
しかし幕末ですから、京からはさぞかし大変だったでしょう

弁天様とは宝厳寺の本堂の弁才天堂のことです
ご本尊の大弁才天は、江ノ島・宮島と並ぶ「日本三弁才天」の一つで、その中で最も古い歴史があるそうです

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あき240

3.0新選組の晩年近くの物語

2022年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

一昨年の1月(コロナ禍前)に司馬遼太郎の『燃えよ剣』2020年公開(2度延期された)に備えて、久しぶりに同書(上下2巻)を読んでから、司馬遼太郎の著書『峠』(全3巻)、『竜馬がゆく』(全8巻)を読んでおり、いずれも幕末を描いた物語だが、違った観点で幕末を捉えた面白さが魅力的。

本作も司馬遼太郎原作だが、冒頭いきなり「池田屋事件」から始まったのは驚いた。
「この先、新選組はさほど長くないではないか…」と思ったら、「池田屋事件」~「天満屋事件」までを描いた映画で、ずいぶんとサラッとした物語だった。

モノクロ映像で作られた1963年作品としては、割と血糊は頑張っていたと思う。

ただ、キャスティングでは、近藤勇の市川右太衛門はチョットおっさんぽく、土方歳三の加藤武はやや切れ味ビミョーな気がした(^^;

最近、映画を観る割合がSNSなどの影響もあってか外国映画の割合が増えてしまって日本映画の割合が減っている気がして、反省している。
黒澤明・小津安二郎はフィルム現存している映画は全作鑑賞、小林正樹・溝口健二・成瀬巳喜男・川島雄三・黒沢清・北野武なども一部上映されない(できない)作品を除いては大半を鑑賞したものの、歴代のキネマ旬報~日本映画ベストテン一覧を見ると、まだまだ未見作は多数あるので、今後、もっと日本映画を観なければ…と改めて思う次第である。

<映倫No.13175>

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たいちぃ
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