地獄の底をぶち破れ

劇場公開日:

解説

「金も命もいらないぜ」の松浦健郎のオリジナル・シナリオを、「ひばりのおしゃれ狂女」の佐々木康が監督したアクションもの。撮影は「ヒマラヤ無宿 心臓破りの野郎ども」の西川庄衛。

1961年製作/93分/日本
配給:東映
劇場公開日:1961年12月24日

ストーリー

白木春男は毎月十五日、恋人の和子に金を渡す中年男山上千吉に不快なものを感じるが、会ってみると決してイヤな男ではなかった。山上は人形造りの戦争未亡人今村文江と一郎の母子にも金を贈り、親戚のように親しまれているふしぎな男だった。だが、一歩歓楽街に入れば、彼は大東亜興業というヤクザ集団の大幹部として恐れられ、チンピラのジョニィから兄の仇として狙われていた。大東亜の社長竜は山上を信頼しているが、同僚の青島、稲垣らはそれを嫉み、山上の反対を押し切って大学出のヤクザ近藤を仲間に加えた。近藤は清楚な女事務員桂子に眼をつける。姉で、竜の情婦秋子はその相談がてら、山上に自分の恋心を打ち明けるのだった。やがて、竜は山上をつれて名古屋で幅をきかす金との取り引きに出かけた。チャンスと見た青島らは、荒川組社長と密談をかわした。果たせるかな、竜と山上は暗い倉庫で何者かに狙撃され、竜は絶命した。秋子と遺骨を受け取りに赴いた青島は、「ボスを殺したのは山上だ」と告げ、秋子を犯した。十五日になると、山上は再び金を渡して歩いた。初めは彼を誤解していた白木は山上が戦時中の部下の遺族の生活を扶けていたと知り、和子との結婚の仲人を頼むが、なぜか山上は承知しない。文江の家を訪ねた山上は、一郎たちの野球チームのオーナーを引き受けた。母子を誘って熱海へ出かけた山上は、文江と情熱の一夜を送った。が、幸福は永く続かず、帰京した二人は、事務所の地下に監禁された。ボス殺しの裁判が開かれた。裁判長は荒川で弁護人を買って出たのは近藤だった。そのとき、近藤が竜を射殺した弾丸はワルサーP38、口径8mmであり、それは青島の拳銃であり、ジョニィの兄を射ったのも同じ弾丸だと証言、警官隊が乱入したため大混乱に陥った。一郎たちの野球試合場に顔を見せた山上にジョニィが迫ったとき、近藤が駆けつけ、ジョニィの仇は青島だと告げた。近藤は警視庁刑事だった。青島の弾丸を身にうけていた山上を、和子が救急車で病院に運び、見送る近藤の側に桂子が寄り添っていた。

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