劇場公開日 1976年8月7日

「特撮ファン、SFファンなら観てなくてもいいけど、観て損はないかと思います」地底王国 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0特撮ファン、SFファンなら観てなくてもいいけど、観て損はないかと思います

2022年2月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

地底探検は1959年の米国映画でジュール・ベルヌが原作
こちらは地底王国で1976年の英国映画
原作はエドガー・ライス・バローズ

題名は似ていますし、どちらも地底世界を扱った物語ですがまるで違うものです

エドガー・ライス・バローズは、コアなSFファンなら当然知っている有名作家です

というか、創元推理文庫の彼の邦訳の各シリーズを全巻持っていることでしょう
それも武部本一郎画伯の表紙絵のもの限定で

武部画伯の描いた絵は世界中のバローズファンに衝撃を与え、米国のフラゼッタか、日本のタケベかと並べ賞されたほど

バローズは1875年生まれ
ベルヌは1928年生まれですから、約半世紀ほど遅れて活躍した米国の空想小説作家です
一般的にはなんといってもジャングルの王者ターザンの原作者として有名です
しかしSFファンのコアなオタクは火星シリーズ全11巻、地底世界ペルシダーシリーズ全7巻などの方が先に名前がでるでしょう

本作はその地底の世界ペルシダーの映画化作品です
バローズの原作内容はベルヌの地底世界に着想を得ていますが完全に別物の物語です
それをだいたいのところ忠実に映画化しています

監督はケヴィン・コナー
この人は特撮好きのよぅで、1974年の恐竜の島、1976年地底王国(本作)、1977年続・恐竜の島、1978年アトランティス7つの海底都市と特撮ものを連続して撮っています

本作ははっきりいってB級もいいとこです
でも観ていてなんか安心するんです
英米の特撮映画でもこんな程度の作品もあるんだなあとしみじみとするでしょう
まるで当時の東映特撮のスタッフが英国で撮って来た作品みたいだと例えましょうかwww

翼竜の進化したマハールはまるで大巨獣ガッパの子供みたいな姿形をしています

鉄モグラはサンダーバードのジェットモグラのスチームパンク風味版です
もしかしたら史上初のスチームパンク映画だったのかも?

博士役のコミカルなピーター・カッシングのコミカルな演技ぶりも見所です
本人も心から楽しんで演技しているのが伝わります
本作翌年の1977年でのスター・ウォーズで演じたターキン総督の渋い重厚な演技との違いをとくとご覧下さい

不満点は、主演のダグ・マクルーアが全然だめ
金持ちの柄の悪いジャイアンにしかみえません
ペルシダーのデヴィッド・イネスは超英雄なのですから、もうちっと武部画伯、フラゼッタが描くような筋肉モリモリでかつ引き締まった体躯のシュワルツェネッガーまでいかなくともチャールトン・ヘストンみたいな俳優であって欲しかったのです
そこが一番ガッカリでした

特撮ファン、SFファンなら観てなくてもいいけど、観て損はないかと思います

あき240