零下の敵

劇場公開日:

解説

アメリカの作家ヴァエ・カッチャの小説「鉤」を、劇作家のヘンリー・デンカーが脚色し、「偽の売国奴」のジョージ・シートンが監督した人間性を追求したドラマ。撮影は「浮気の計算書」のジョセフ・ルッテンバーグ、音楽はラリー・アドラー。出演者は「脱獄」のカーク・ダグラス、「インターン」のニック・アダムス、ロバート・ウォーカー・ジュニア、ネーミア・パーソフ、エンリケ・マガロナ、マーク・ミラーなど。製作はウィリアム・パールバーグ。

1962年製作/アメリカ
原題:The Hook
配給:日本ヘラルド
劇場公開日:1963年6月6日

ストーリー

朝鮮半島沖の小島が北朝鮮の爆撃で無価値となり、古参のブリスコー軍曹(カーク・ダグラス)とハケット(ニック・アダムス)、新兵のデニソン(ロバート・ウォーカー)は島を放棄しようとしていた。その時、突然敵機が飛来して来た。が、彼らを狙った敵機は墜落、飛行士はパラシュートで海中に脱出した。そして、若者デニソンによって助けられた。中立船の船長はこの北朝鮮兵の捕虜をアメリカ兵3人と同室させたため、3人はこの捕虜を監視させなければならなかった。このことをブリスコーは司令部へ連絡した。すると、その捕虜を処刑するよう命令された。ブリスコーは抗議したが、あと1年平穏に勤務すれば恩給のつく身の上なので、やむを得ず承諾していた。デニソンはなんとか捕虜の命を救おうとブリスコーに嘆願するが、かえって軍曹を苛立たせるばかりだった。そしてこの時とばかりに軍曹はデニソンに処刑を命じるのだった。が、彼は頑として拒絶し続けた。やむなく酒癖の悪いハケットを酩酊させて殺させようとしたが、彼もできなかったばかりか、逆にブリスコーにはむかってきた。ある夜、デニソンとハケットは、こっそりボートで捕虜を逃がそうとしたが、ブリスコーに発見された。ついに軍曹は自らの手を下さねばならない、と決心するまでに追いつめられた。幾度かの苦悩と動機の末、ピストルを捕虜に向けたが、結局彼にも殺せなかった。思いあまって司令部に報告するため無電機を取ると、思いがけなく休戦成立の報せが入った。彼の苦悩は解消したのだ。が、その事実を知らない捕虜は、縛を切って脱出、船を爆発させようとしたが成功しなかった。追いつめられ、カミソリを手にしてブリスコーと向かい合った。が、次の瞬間、殺されていた。ブリスコーは正当防衛だと信じ切ろうとしたが、なにかもう1つの暗い後悔の念を振り捨てることができなかった。水葬にふされたその死体が、よどんだ海中に消えていくのを眺めながら、ブリスコーはかすかに表情を動かした。

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