野性愛
解説
北カロライナの山間に近代文化から隔絶されて棲む集落に起った事件を取扱った自然その侭の映画劇で、無経験の住民たちを出演せしめて製作された特異の作品で、名監督ジェームズ・クルーズ氏附きの名カメラマンとして名高かったカール・ブラウン氏が監督昇進第1回作品として原作並びに監督したもの。脚色者もクルーズ氏の良き共同者ウォルター・ウッズ氏。
1927年製作／アメリカ
原題：Stark Love
ストーリー
亜米利加は北カロライナのずっと山奥に約2世紀の間、總ての外界、總ての文明から遠ざかって未だに原始的な住居をしている英国人の子孫がいる。彼らは集落をなさずに散らばってはいるが不思議にも男尊女卑の弊風を存して男が怠ける割りに子女が畑に出て酷く働くのである。この山奥にロップ・ワーウィックと云う青年があった。彼はただ一冊の本を通して、かすかに昔のことや外界のことを知っていた。そして女は酷使さるべき者ではなく寧ろ敬愛さるべき者、男が働いて彼らを保護すべき者と考えていた。そして常に病身の母や近所の娘バーバラをいたわっていた。ある時この山に麓の町から牧師が死んだ人たちの葬式をするために登って来たのでロップは牧師に附いて麓の町へと下ったそして自分の馬を買って学資を拵えそれによってバーバラを町の学校へ入れるべく手続きを取った。しかし斯くてロップが再び山へ帰った時にはロップの母はあの世の人となっていた。そしてまだ小娘のバーバラがロップの父の後妻として家に引入れられていた。ここに於てロップは父親にバーバラを麓の学校へ入れてくれる様願ったが承知しなかったので遂に争いを始めロップは川の淵に投げ出されて了った。折柄季節の関係で次第に増していた川水は遂にロップをさらい、彼を救おうと飛込んだバーバラをさらって2人を一時に麓へと押し流した。そのため2人は思い掛けなくも無事に憧れの町へ出ることが出来て2人の間に天下晴れて新らしい自由な生活が始まることになったのである。
