燃ゆる唇

解説

E・フィリップス・オッペンハイム氏作の小説に基づいてパウル・ベルン氏が脚色しドイツから渡米したロタール・メンデス氏が監督したもので、「世界の籠児」「荒み行く女性」等出演のベン・ライオン氏「荒み行く女性」「ステラ・ダラス(1925)」等出演のロイス・モーラン嬢及びドイツから渡米したリア・デ・プッティ嬢が主演し、アイアン・キース氏、メアリー・ブライアン嬢、オリーヴ・テル嬢、ヘンリー・ヴイバート氏、ジェー・パーネー・ジェリー氏等が共演している。

1926年製作/アメリカ
原題:The Prince of Tempters

ストーリー

フランシスは母に死に別れて以来幼い時からイタリアのある厳格な僧院で教育を受けその生涯を聖なる神の道に捧げ様と固く誓っていたが偶然の機会から彼こそ英国のチャッツフィルド公爵の正当なる後継者であることが判明し同家に迎えられた彼はこの厳格な僧院から華やかなロンドン社交界に足をふみ出した。さらでも誘惑多き社交界である。まして彼の優れた美貌と莫大の財産へは蟻の甘きを慕うが如く様々の男女がそれぞれ好餌を携えて集まって来るのであった。かつて同じ寺院でフランシスと暮らしたことのある心のよくないマリオは男爵ジオルダノと偽名して社交界に出入りし、フランシスの財産に目をつけて当時社交界で有名な妖婦ドロレスを語らって彼を誘惑せしめようとした。もちろん世間知らないフランシスは容易に彼女の術中に陥ったが彼女もまた彼の唯一途な純真さに今では物質を離れて彼が忘れ難いものになった。しばらくする内フランシスは一日その親戚を訪ねてそのところで美しいモニカと知り合ったが、彼は純潔な彼女に依って始めて恋の貴さを知ることができる間も無く2人は婚約の間柄になった。一方彼のことを忘れかねたドロレスはその処へ訪ねて来たが、これを見たモニカは怒って遂にその婚約を破棄してしまった。フランシスは独りさびしい心をいだいてロンドンに帰って来たが、その後でモニカとジオルダノ男爵の結婚を聞き、彼は己の全財産を彼女の父に譲ってすべての華やかな希望を捨てて再び寺院に帰ろうと決心した。処が真の愛に目覚めたドロレスはすべてはジオルダノ男爵の醜い奸策であることをモニカに自白し、2人の幸福のために酬いられる片恋を抱きながら、己は毒を仰いで死んだ。しばらくしてすべては解決し、モニカはフランシスの跡を追って寺院に行き、その処で2人は神の前に幸福なるべき生涯を誓ったのであった。

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