火の鳥(1934)

解説

オーストリアの劇作家ラヨス・ジラーイ作の舞台劇を映画化したもので「流行の王様」「暁の砂漠」のウィリアム・ディーターレが監督に当たった作品。脚色には「吾れは愛せり」のチャールズ・ケニヨンが任じているが彼はジェフリー・デルの米国語脚本に依った。主なる出演俳優は「最初の接吻」「愛の岐路」のヴェリー・ティーズデール、「ワンダー・バー」「五十六番街の家」のリカルド・コルテス、「ナナ」「恋の凱歌」のライオネル・アトウィル、「楽園の大河」のアニタ・ルイズで、「勝利の朝」のC.オーブリー・スミス、「これがアメリカ艦隊」のドロシー・ツリー、「運ちゃん武勇伝」のホバート・カヴァナ及びロバート・バラット、新顔のヘレン・トレンホルム、「舗道の雨」のハル・K・ドーソン等も出演している。キャメラは「最初の接吻」「夫の日記」のアーネスト・ホーラーの担任である。

1934年製作/アメリカ
原題:The Firebird

ストーリー

ポインター家はウィーンの都でも指折りの由緒ある名家であった。当主ジェンは内閣に列した事もある名士で、その妻カロラとは人も羨む睦まじい仲だった。彼らにはマリエッテと呼ぶ1人娘があった。彼女は丁度18才の誕生日を迎えたばかりの処女であった。ジョンは妻のカロラが満18才の日に自分と婚約したことを思い出すと、娘にも今に恋人が出来て、自分たちから去っていくのだと思い寂しい気がするのだった。しかしマリエッテにはまだ恋人はなかった。第一、彼女は男友達と自由に交際し遊ぶことさえも両親に禁じられていたのだ。名に不自由もなく、両親には溺愛されているマリエッテではあったが、この事は大きな不満であった。さて当時のウィーンの人気の焦点となっている俳優ハーマン・ブラントはポインター一家と同じアパートに居を移した。彼にはジョーランという妻があったが、今は離婚して女から女へと漁色生活を続けているのである。そのブラントが白羽の矢を立てたのが、女盛りのカロラだった。彼は巧みに言い寄ったが、夫ジョンを愛するカロラは一顧もせずひじ鉄砲を食らわせた。ところがブラントにはマリエッテが憧れていた。勿論純な乙女心からのロマンチックな人気俳優崇拝に過ぎなかったのである。かくてマリエッテは厳格な両親の監視を逃れて、時折ブラントの部屋を訪れるようになった。ある晩ポインター一家が観劇に赴いたとき、ブラントは何時迄も楽屋入りしなかった。程経って彼が自宅で銃弾を胸に受けて殺されているのが発見された。取り調べの結果殺害時刻に、女がポインターのアパートからブラントのアパートを訪れた事が判った。するとカロラが自分が殺したと名乗り出た。彼女はブラントが暴行しようとしたので防衛したのだと言ったが、尋問してみるとカロラはブラントのアパートの間取りさえ知らない事が判明した。彼女はマリエッテをかばっているのだった。しかしマリエッテもやはり正当防衛であり、しかも弾丸は誤って発射されたことが明白となって、彼女も罪は問われなかった。この事があって、ポインター夫妻は自分たちの教育方針が間違っていたことを悟ったのである。

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