虎御前

解説

アドルフ・マンジュウ氏が「一夜の秘密」に次いで主演したもので、バ社に於いて比が最初の当りをとつた「姫君と給仕」の原作者アルフレッド・サヴォア氏の喜劇に取材して「セレナーデ」「一夜の秘密」と同じくエルネスト・ヴァイダ氏が脚本を書き、「新婚の危機」「紅唇百万ドル」のホバート・ヘンリー氏が監督した。マンジュウ氏の相手役には「ショウ・ダウン」「非常線(1928)」出演のイヴリン・ブレント嬢が選ばれ、ローズ・ディオン嬢、エミール・ショータール氏、マリオ・カリロ氏等が助演する。

1928年製作/アメリカ
原題:His Tiger Lady

ストーリー

パリのあるミュージック・ホールで開演中のレヴィユーの一幕に印度王族の役を勤めている臨時雇いのアンリは象の上の玉座に座りながら、毎夜ボックスに現はれる美しい貴婦人の横顔を寫生していた。アンリは望みなき恋と知りながら彼女を深く想つていた。この貴婦人には何時も3人の救婚者がかしづいていたが、彼女は物倦そうな面持をして見るともなく舞台を見ていて、ただ本物の虎が出るときだけ眼を輝して熱心に見入るのが常だつた。そこで誰が言い始めるともなく彼女のことを虎御前と呼ぶようになつた。その虎御前に食うや食わずの貧乏役者が恋をしていることが舞台裏での笑いを買つたが悪戯者の主役女優と舞台監督とはアンリに偽手紙を持たせてやつた。とは知らぬ彼は虎御前から恋文を貰つたと悦び勇んで約束の料理店へ行こうとして扉を開くと悪戯者一同が仕掛けた水を頭から浴びて一張羅がずぶ濡れとなり一同の嘲笑を買つた。窮すれび通ずるとやらでアンリは印度王族の舞台衣裳を無断借用に及んで大膽にも堂々と料理店に乗込んだ。そして虎御前と卓を共にして御馳走の有りたけを並べさせた。しかも彼を本物のラジャーと思込んだ虎御前の3人の求婚者の1人は自分に勘定を払う光栄を賜えといつて勘定書を取つた。それからアンリは更に虎御前のホテルへ行つて恋の告白をしたが彼女は明日3時に動物園の虎の檻の前に来てくれれば返事をすると約した。アンリは虎御前が檻の中に手袋を投げてそれを取つてくれたらという難題をかけることを3人の求婚者から聞き翌日は早くから動物園へ行つてみると問題の虎は急に死んで了つていた。彼は又もや借衣をして檻の中で虎の頭を踏まえて虎御前が来るのを待つた。虎御前はアンリにまつ赤な唇をさし出した。しかし彼女を真から愛している彼はすべてを告白し身の素性をも打ち明けて立去つた。翌日の舞台稽古の時アンリは新しいコーラス・ガールを認めた。それはほかならぬ虎御前であつた。

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