魚が出てきた日

劇場公開日:

解説

「その男ゾルバ」のギリシャ映画会の名匠マイケル・カコヤニスが製作・脚本・監督・衣裳デザインを担当した異色篇。撮影は「その男ゾルバ」のウォルター・ラサリー、音楽も同じく「その男ゾルバ」のミキス・テオドラキスが担当した。出演は「パリのめぐり逢い」のキャンディス・バーゲン、「将軍たちの夜」のトム・コートネイ、「寒い国から帰ったスパイ」のサム・ワナメイカー、「わが命つきるとも」のコリン・ブレイクリーほか。

1967年製作/アメリカ
原題:The Day The Fish Come Out
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1968年6月1日

ストーリー

1972年。ギリシャのエーゲ海上を飛んでいた軽爆撃機がカロス島付近の海上に墜落した。乗務していた、2人のパイロット(トム・コートネイ、コリン・ブレイクリー)は2個の原爆と金属製の箱をパラシュートで落とした。爆弾は海中に、箱はカロス島にそれぞれ落下した。パラシュートで海に飛びこんだ2人のパイロットはやっとの思いで島に泳ぎついたが身分や素性など一切を極秘にせねばならず、何とか基地と電話連絡でもと考えたが、金もなかった。2人が相談してる間に金属製の箱は島の山羊飼によって彼の家に運ばれていた。一方、島には、ホテルの開発者に化けた20数名の軍関係者がやって来ており、彼らはホテルに恰好の敷地を探すとみせかけ、海中から爆弾を引き上げた。だが、彼らの目的物は高度の放射能物質が入っているらしいと思われる金属製の箱だった。どこかに箱があると確信するリーダー格のエライアイ(サム・ワナメイカー)が、極秘のうちにそれを探し出すため、島の半分を買いとってもいいと言い出したことから、島は一夜にして観光ブームが訪れた。その頃、山羊飼はあらゆる手段をつかって箱をあけようとしたが箱はいっこうにあきそうになかった。また、2人のパイロットは、島をうろつくうちに離れ離れになってしまった。そのうちにホテルの敷地とみせかけた所から遺物が発掘されるということが起こり、エレクトラ(キャンディス・バーゲン)をまじえた考古学者たちも集まってくるという騒ぎとなった。その発掘に必要な金属を切る強力な酸を、山羊飼がエレクトラの留守に盗み出し、箱に穴をあけた。ところが中身は、数個の卵型のカプセルであり、山羊飼はガッカリして海に捨ててしまった。哀れなのは2人のパイロットである。2人は乞食のまねをして島民から金を集めて、ようやく基地との連絡をとるといった有様だった。翌日、あたりの海には、無数の魚の死骸が浮かんでいた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

0.5悪ふざけがすぎる

2019年10月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
odeonza

4.0面白く、やがてお怖ろしき核の恐怖

2019年6月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1966年に起こったパロマレス米軍機墜落事故を元に作られた政治的な風刺映画
コメディタッチでその事故が監督の国ギリシャでもし起こったならというお話です

パロマレス米軍機墜落事故は本物の水爆4発を積んだB-52が空中給油機と空中衝突して墜落した実際にあった背筋の凍る事故
水爆は3発が本作の冒頭で語られるパロマレス近郊の農地に落ち、1発は近くの海中に落ちた
幸い核爆発はしなかったものの、農地に落ちた3発のうち1発は無傷だったが、2発は猛烈な放射線を放ちかつ毒性をもつ核物質のプルトニウムが漏出した
米軍により除染、土壌の入替が行われたので、もう安全ということに公式にはなっています

海中に落ちた水爆は無傷で回収されましたが、現地は欧州各地から観光客のくる別荘地でもあり
スペインの観光大臣がビーチで泳いで見せて安全をアピールする羽目になりました
本作の水爆の小道具はこの事故で実際に海中から回収された本物の水爆の写真とそっくりに作られています

面白く、やがてお怖ろしき核の恐怖
ギリシャはエーゲ海のひなびた離島ののんびりした何もない風景、仕事もなくカフェでぼんやり過ごす島の男達がカメラに捉えられ、ナバロンの要塞やグランブルーで観たギリシャの貧しい田舎町の光景が展開されます
エキストラはロケをした島の本当の住民なのでしょう
ギリシャの田舎の風景と人々
つまり監督の愛する母国そのものを愛情を込めた視線でカメラが写しています

そしてにわかに世界中から観光客が押し寄せ、カラフルかつ情熱的な夜の広場でのダンスシーンと続きます
そして題名どおり、夜の暗い海に大量の魚が浮かぶシーンに続くのです

そして青白いチェレンコフ光とおぼしき光でラストシーンとなるのです

その時の恐ろしさは、監督が感じた我が故郷がこうなってはどうしようという恐怖を、私達観客が共有した恐怖なのです

本作から既に半世紀が過ぎました
核事故はそれからも起こっているでしょう
日本では原発事故も起こしました
しかし核爆発という 最悪の事態は免れています
しかし言い方を変えるなら、幸運を使い果たしつつあるともいえるのです

21世紀の東アジアでは核戦争の危険が高まっています
つまり核事故の確率も高まっているのです
魚が出てきた日は日本で現実に明日起こるかも知れないのです

コメントする (0件)
共感した! 0件)
あき240
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る

他のユーザーは「魚が出てきた日」以外にこんな作品をCheck-inしています。