心の青春

解説

「スタア誕生(1937)」「四つの恋愛」のジャネット・ゲイナーと「パリの評判女」「処女読本(1938)」のダグラス・フェアバンクス・ジュニアが主演するセレズニック作品で、I・A・R・ワイリー作の小説を「暗殺者の家」のチャールズ・ベネットが潤色し、小説家・劇作家のポール・オスボーンが脚本を書き、「第2の女」「七日間の休暇」のリチャード・ウォーレスが監督にあたり、「暗黒街の弾痕」のレオン・シャムロイが撮影した。助演は「モダン・タイムス」のポーレット・ゴダード、「天国漫歩」ノーランド・ヤングおヨビビリー・バーク、映画初出演の舞台俳優リチャード・カールソン、同じく女優のミニー・デュブリー等で、ヘンリー・スチヴンスン、アーヴィン・S・コップ、アイリー・マリヨン等も端役を演じている。

1938年製作/アメリカ
原題:The Young in Heart

ストーリー

カールトン家の人たちは他人に好かれる性格を持っていたが、何も定職がなく人の財産目当てに世の中を渡っていた。主人のアンソニー・カールトンは、以前ベンガルの槍騎兵大佐だったと称しているが、実は前に舞台でその役を演じたことがあるだけだった。ある日父がトランプでインチキをしたことから、その招待がばれてしまい、そのため一家はリヴエラから追放されることになった。息子のリチャードは百万長者ジェニングスの娘と金目当ての結婚をすることになっており、娘のジョージ・アンにも真面目なダンカンという恋人があったが、この事件で駄目になり、ジェニングス家からお情けにロンドン行きの切符を貰って出発した。列車中で食物を買う金がなく、一家が腹をへらして弱っている時、ジョージ・アンはエレンという身寄りのないお婆さんで莫大な財産家と知合になった。たちまち一家全部はこの老婦人の部屋でご馳走になり、しかも列車事故が起きたときジョージ・アンが心から看護したので、とうとうロンドンの郊外にある老婦人の家へ招待されることになった。身寄りのないエレンは一同にいつまでも滞在してくれと頼んだ。一家は夢かとばかりに驚くと同時に、彼女は気に入られた上でこの家の遺産を相続しようと考えた。そのためにはまず彼女の信用を得なければならぬ。そこで父親は不意に訪れたダンカンの紹介で自動車会社のセールスマンになり、天才的な社交術によって、見事な成績を挙げるようになった。リチャードも老女の手前を考えて鉄工場の事務員となり、そこの美しいタイピストのレスリーと知合になった。こうしている内に父も息子も、いつの間にか仕事に興味を持って来だした。父親は販売主任になり、息子は勉強して技師になろうと考えているらしい。ある日、老女の財産管理人フェリックスは、当家の財産は財界の変動で無一文になっていることをカールトン家に打明けた。しかし不思議に彼らは驚かなかった。知らない間に彼らは真心からエレンを愛するようになっていたのである。彼らは静かな郊外に自分の家を新築し、そこに財産を失った彼女を迎えた。ジョージ・アンとダンカンの仲も元通りに復活し、リチャードもレスリーの愛を得て、一家には真面目な楽しい生活が続いた。

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