劇場公開日 1953年10月18日

「軍隊は男の魔窟、女はそこから距離を置き…」地上(ここ)より永遠に KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5軍隊は男の魔窟、女はそこから距離を置き…

2022年7月26日
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何十年ぶりかの再鑑賞だったが、
現在はネット時代。
当時は知るよしも無かった情報が手に入り、
初めて知ることも多い。

まず、作品名の“地上より永遠に”に
続く言葉が
“呪われたる…兵士に憐れみをたれたまえ”と、まるでキリストの言葉の如くであったこと。

また、原作がテレンス・マリックの
「シン・レッド・ライン」と同じ人物である
ことも。

更に、「ゴッドファーザー」に出てくる歌手が
フランク・シナトラをモデルとしている
ことは聞いていたが、
出演を計った作品がこの「地上より…」だった
ことは初めて知った。

この作品に先駆けて、ジンネマン監督の
初期の頃の「山河遙かなり」を観たところ、
まだまだ演出に不満を感じたのだが、
5年でこんなにまで
演出力が進歩するものかと驚いた。

この映画は、基本的に軍隊内部の
非人間性を描いた作品なのだろうが、
「山河…」に比べると、
この作品の方が圧倒的に構成要素が多い。
それなのに、各エピソードを
上手く処理した手腕は見事と言うしかなく、
圧倒的に優れた作品として鑑賞出来た。

この作品の評価、キネマ旬報では、
より過酷な軍隊内部を描いた邦画
「真空地帯」等が先に上映されていて、
「地上より…」での制裁等が
生温く感じたためか分からないが、
「禁じられた遊び」や「ライムライト」等の
名作揃いの年で第16位と沈んだものの、
アカデミー作品賞・監督賞受賞は
納得の完成度に思えた。

それにしても軍隊という組織は
恐ろしい所だ。
どんなに辛い事があったとしても、
そこに戻ろうとするベクトルが生じるとは。
ここは男性にとって
魔窟のような場所なのだろうか。

そして、女性はその世界から距離を置く存在
でもあるのか。
青年兵士が曹長の計らい(多分)で
名誉の戦死の扱いになって、
恋人が彼の母親にその勲章を送ろうとした。
しかし、母親は受け取ろうとしないのは、
そんな意味合いを含めたのだろうか。

次の鑑賞は、この作品から6年後の
まだ未見の「尼僧物語」だ。
更にこの後の監督作品「わが命つきるとも」も
名作だったとの思いがあるので、
「尼僧…」の鑑賞が
ますます楽しみになってきた。

KENZO一級建築士事務所
りかさんのコメント
2024年4月7日

こんにちは♪コメントありがとうございます😊
マイナンバーカード?
原発を無くさず再稼働とかも?
防衛費?
いつのまにか知らないうちにその方向に持っていかれて有無を言わせずに。ですが、国が本気でしようとしたら、抵抗しにくいでしょうね。怖いです。

りか
りかさんのコメント
2024年4月7日

おはようございます😃
共感していただきましてありがとうございました😊
『尼僧物語』と同じ監督だったとは。
戦争を描いていますものね。本作の真珠湾攻撃は、アメリカ軍がただただ気の毒としか映りませんでした。

りか