狂恋(1935)

解説

「暗殺者の家」「M」のピーター・ローレが主演する映画で、モーリス・ルナール作の「オルラックの手」を「古城の妖鬼」のガイ・エンドアが改作し、「ダンシング・レディ」のP・J・ウルフソンと「フランケンシュタインの花嫁」のジョン・L・ボルダーストンが脚色し「月の宮殿」「ミイラ再生」のカール・フロイントが監督し、「シーコウヤ」のチェスター・ライオンズと「結婚十分前」のグレッグ・トーランドが撮影した。助演者は「結婚十分前」のフランセス・ドレイク、「フランケンシュタインの花嫁」のコリン・クライヴ、「死の本塁打」のテッド・ヒーリー、「紅雀」のセーラ・ヘイドンその他。

1935年製作/アメリカ
原題:Mad Love

ストーリー

パリで有名な外科の大家ゴーゴル博士は「恐怖座」の女優イヴォンヌ・オーラックに魅せられて夜毎劇場に通ったが、ついに千秋楽の夜がきて彼女を楽屋に訪れた。イヴォンヌには結婚後1年間別居していたピアニストの夫スチーヴン・オーラックがあり、彼と同棲するため、再び舞台を踏まぬ決心をゴーゴルに打ち明けた。博士は痛く失望したが、せめてもと劇場に飾って合った彼女の塑像を譲り受け自分の住宅に置いて眺めては心を慰めていた。しかし2人の交渉はそれで終わらなかった。イヴォンヌの夫スチーヴンは列車事故に遭って両手を切断せねばならぬ事になってその手術がゴーグルの手で行われた。彼は再び用をなさぬスチーヴンの手の代わりに死刑囚ロロの手をつなぐ事に成功した。ロロはサーカスの「剣投げ」の芸人だった。快復したスチーヴンの手はピアノが弾けないのは勿論、不思議な事に本能的に刃物を投げたがった。そのために彼は危うく継父と争って彼に刃物を投げつけて殺そうとして失敗したが、その晩継父は何物かに刃物で殺されてしまった。嫌疑は勿論スチーヴンの上に懸かった。一方ゴーゴルはスチーヴンの危機を幸い、悪策をそうしてイヴォンヌを手にいれんと焦った結果、ついに悪策が暴かれてスチーヴンの手に敢えなき最後を遂げた。そしてスチーヴンの継父を殺したのもゴーグルだという事が最後に発覚した。

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映画レビュー

3.0女優に恋したマッドサイエンティストの悲哀。ピーター・ローレのハマり役!

2021年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ナイフ投げの達人である殺人犯の手を移植されたピアニストが、無性にナイフを投げて人を殺したくなるというアホネタに、常套的な「キングコング」「オペラ座の怪人」のフォーマット(優秀な非モテの怪物が美人女優に恋する)を掛け合わせた怪奇スリラー。
珍作ではあるが、一応古典としてある程度名の通った作品で、同じカメラマンということもあって、『市民ケーン』への影響関係を語る人もいるようだ。

とにかく、ピーター・ローレがハマり役。
彼の怪演ぶりを堪能するという意味では、これほど楽しい映画もない。
ただ、出だしから目の色変えて変態演技にフルスロットルなぶん、逆に映画がいかにもジャンル映画ぽいチープさを身にまとっているのも確か。
「腕を移植する」みたいなキワモノネタで勝負してる時点で、どうしたってジャンル映画感はぬぐえない。せめてマトモに見せようとリアリティの追求や抑制的な演出をやったところで、たかが知れてる。ならばいっそ、この映画ではグラン・ギニョル的な大仰さを敢えて究めて、怪演・珍演で名を残してみようか、みたいな居直りが随所に感じられる。

全体的にノリがガチャガチャしているうえ、コメディ要素なども無造作にぶっこんであって、作り手がB級であることを楽しんでいる気配がある。博士の計画についても、目的のブレとか、あまりの迂遠さとか、どうもシナリオ上突き詰められていない気配があるが、そこはあまり気にしても仕方がないいのだろう。
ピーター・ローレの異常人格演技と、蝋人形、食虫植物、オウム、その他、奇妙なオブジェの数々で彩られた博士の館のグラン・ギニョル趣味で、お腹はじゅうぶん満たされるので問題ない。

ちなみに、食虫植物サラセニアの捕虫葉の入り口の蓋は、あんなふうに虫を捕らえて閉まったりは絶対にしません(笑)。ほんと、どうでもいいところでコマ撮り撮影とかやってんのな。

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じゃい
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