キャバレーの秘話

解説

「懐しのアリゾナ」「熱沙果つる所」と同じくアーヴィング・カミングス氏の監督作品でウォーレス・スミス氏の原作から「街の天使」「クリスティナ」のマリオン・オース女史が脚色した。主役を演ずるのは「母ぞよく知る」「空中サーカス」のルイズ・ドレッサー夫人で他に「赤い酒」「無頼漢(1928)」のジューン・コリアー嬢、アラン・レーン氏、オスカー・アッフェル氏、ポール・ニコルソン氏等が助演している。キャメラは「紅の踊」「極北恋の滑走」のチャールズ・クラーク氏が担任。

1929年製作/アメリカ
原題:Not Quite Decent

ストーリー

ニューヨークの酒場の女将をしているメームはある時旅行の途中故郷の町を通過したが、その時若い女優の一団が彼女の汽車に乗り合わせた。メームもその昔ヴォードヴィルの女優として人気を博したことがあったので、この女優の一団を懐かしげに眺めていたが、その中の一人の娘は特にメームの注意をひきつけた。娘の名はリンダと言って舞台に立つのはこれが初めてだとのことでメームはリンダに言い知れぬ親しみを覚え種々と話しかけるのであった。ニューヨークの酒場に帰ったメームはアルという男の訪問をうけたがメームは面会を躊躇した。それもその筈アルこそはその昔メームの恋人なのであった。思い切って彼女が面会して見るとアルはリンダを連れていた。アルの金力と勢力とによってリンダは或る歌劇の主役を務めることになったが予期していた成功を収めることは出来なかった。アルは遂に色魔の本性を表してリンダの貞操を汚そうと企んだ。計らずもこれを知ったメームは身を挺してアルの悪計をあばき、リンダの身の良きように計らってやった。何が故にメームがこれほどまでに自分に尽してくれるのかリンダにはよく判らなかったが、実はメームこそはリンダの産みの母親なのであった。救われたリンダは故郷へ帰り、そこに待つ恋人ジェリィとともに楽しい生活に入った。一方メーム母子の名乗りもせず苦しい胸をやるせない唄でまぎらして酒場に暮らしていた。

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