生けるマリオネット

解説

「妾の弱点」「裏切る唇」のリリアン・ハーヴェイが出演するミュージカル映画で、「ブダペストの動物園」と同じくローランド・V・リーが監督に、リー・ガームスが撮影にあたったラスキー・プロ作品である。脚本は監督者リーが「山に住む女」のエドウィン・ジャスタス・メイヤーと共同して書き下ろし、ハーヴェイの相手役は「ブダペストの動物園」「空中レヴュー時代」のジーン・レイモンドが勤め「猟奇島」のレスリー・バンクスと「ゆりかごの唄」のジョージア・ケーンを始め、「昨日」のジェネヴァ・ミッチャル、マレイ・キンネル、ハリウェル・ホップス等が助演している他ポボレッカ一座の人形芝居を巧みに取り入れてある。

1933年製作/アメリカ
原題:I Am Suzanne!

ストーリー

花のパリで古い歴史を誇るピッコリ操り人形も世を挙げての流行であるレヴューの人気に押され押されて昨今では奈落の一路を辿り、場末の小屋に追われ今は没落を待つという運命に落ちてしまった。この人形芝居の座頭のせがれトニイは何とかして操り人形を昔日の者になさんとそのころパリ随一と唄われた花形ダンサー、スザンヌの人形を作らして貰おうと彼女を劇場へ訪れたが、支配人バロンのために阻まれ一度は目的を達しえなかったが、結局彼の熱心さが奏効し彼はスザンヌの写生に成功した。その時既に若い2人の胸には恋が兆していたのであった。これを感付いた支配人バロンはスザンヌをトニイに奪われることを恐れ、一足先にスザンヌを説いて結婚の約束をしてしまった。裏切られた様な気のしたトニイはスザンヌの行状を責めた。これがため彼女の心は乱れて「サン・モリッツ」の空中編み渡りのシーンで身体の中心を失い墜落して、命より2番目の足を挫折してしまった。早々ダンサーとしての生命なしと見て取ったバロンはスザンヌとの婚約を破棄して姿を消してしまった。これに反しトニイはスザンヌをいたわり、フランス1の名医にかけ、ひたすら彼女の全快を祈るのであった。数ヶ月にしてスザンヌは全快したが、しかし彼女は再び舞台に戻ろうとはせず、操り人形師となり人形スザンヌに彼女の魂を打ち込み、それを通して彼女の芸術を紹介しつつ、トニイからの恋の表示を今かいまかと待っていた。純情で恋に疎いトニイは面と向かってスザンヌに切なる胸の裡を打つ明けるのであった。トニイのこの態度をもどかしく思ったスザンヌはトニイの一座を見限り、再び舞台へ返り咲きしようと決心した。丁度その時前支配人バロンが再び現われ、待ってましたとばかり彼女をパリの大レヴュー劇場へ売り込んだ。劇場主はそのシーズンのプログラムに錦上更に花を添える意味で人気のあるトニイ一座の操り人形芝居を契約しスザンヌと共演させようと図った。初日の晩が来た。しかしトニイを失ったスザンヌの心は晴れやかではなかった。関係者一同は大いに憂慮した。スザンヌの心を良く知っているバロンはスザンヌに対する愛欲のすべてを捨て開幕前にトニイとスザンヌの心を結ぶことに成功したので遂ににスザンヌの神技と電灯を誇る操り人形との完全な芸術的融合が成立し、期待通り空前の代成功を収めることができた。

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