劇場公開日 2013年3月22日

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「師とは何か?」ザ・マスター ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5師とは何か?

2021年1月29日
iPhoneアプリから投稿

CSでたまたまやっていて観た。
「ファントム・スレッド」もハマらなかったので、そんなに期待はしなかった。
ただ、とにかく構図といい陰影といい、画面はレンブラントの絵画のようにバッチリ決まっているし、ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンの師弟関係というので、観ているうちに自然と期待値が上がって行った。

全体像は見えないものの、おもしろくなる予感だけは横溢していて、キリストと悪霊になぞらえてみたり、「マスター」はエイミー・アダムスなんじゃないかとか、教祖の寵愛をめぐって血みどろの内ゲバになるのか、金銭問題で教団が堕落していく話なのか、あるいはホアキンがマスターにとって変わるのかとか…終始想像だけはかきたてられた。

だがしかし。そんなゲスの勘ぐりなどに1mmも堕することなく、純粋に師弟の愛が主題らしく、オチに至っても結局何が言いたいのか、お芸術すぎて私のようなボンクラにはようわからん。というのが正直なところ。
確実に言えるのはこれが「ジョーカー」のひな型だろうなってことくらい。イキりホアキンは大変かわいい。

かろうしてわかるのは迷える子羊が預言者を必要とするように、導師もまた信徒を必要とする、すなわち相思相愛の関係ってことだろうか。
むしろ、心酔してくれる人間がいるから成り立つ教祖より、それなしでも生きていける人間の方が元来立場が上ってことなのかも知れない。
アイドルとファンとか。
監督は無神論者なのかなあ。

ipxqi