横道世之介のレビュー・感想・評価
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素敵な男に出逢った。
見終えたとき、素敵な男に出逢った!
と思った、見てるとき笑いが止まらなかった。
二度目に見たときには、泣けた。
世之介は、私の知り合いでもあったような錯覚。
キャストさんのお芝居も、キャラも本当に合っていて 作品の良さを引き上げていたと思う。
お芝居というより、本当に日常っぽくて、よりリアルに知り合いであったような感覚でした。
キスシーンの撮り方も面白くて、ときめいた。
素敵すぎる。
色々な見方ができる。
あなたを忘れない
「名前は?」
「横道世之介」
「…本名?」
…と、誰もが思いそうな名前の横道世之介。
名前もユニークなら、その人となりもユニーク。
とにかく、イイ奴なのである。
ふわふわ、マイペース、お人好し、人懐っこい。ちょっとKYで図々しいけど、憎めない。個性が無いのが個性。
この青年に微笑ましく魅了される。
物語の舞台は1980年代後半。大学時代。
誰にも学生時代、仲の良かった友人はいる筈。あんなに仲良かったのに、今は忘却の彼方。でも、ふと思い出すと、つい笑ってしまう。
誰の記憶の中にも世之介は居た。
高良健吾が世之介を自然体で好演。間違いなく、彼の代表作!
世之介の彼女になる天然お嬢様に吉高由里子。好き嫌いが別れる女優だが、今回の役柄はとてもキュート。
世之介の友人役の綾野剛と池松壮亮、憧れの年上女性の伊藤歩ら絶妙のアンサンブル。
160分の長尺は身構えるが、沖田修一監督の演出は心地良く、飽きる事は無い。監督にとっても代表作になるだろう。
何処か噛み合わない会話や、「えっ」とか「あ…」とかよく口にする日常言葉もコミカル。
1980年代後半の雰囲気やファッションがノスタルジーを誘う。
劇的な青春じゃないけど、誰にも覚えがある何気ない普通の青春。
そんな青春を、ほっこりさせられるアイツと過ごせて、最高の思い出。
世之介が、ある事故で人を助けようとして亡くなった方がモデルとは知らなかった。
その優しさに…あなたを忘れない。
高良くんぴったりな気がする。
とても微笑ましくなりあったかい映画。 ストーリーも雰囲気も1人1人のキャラも演技も全て満足。 邦画が好きな人は好きかな?って感じでした。
ショウコと世之介がいつ別れてたとか微妙な所があるのでそういう意味でももう一度観たい作品になりました。
原作の世界観はそのままに
原作読後、世之介を愛おしく感じ出来事を暖かに思い
顛末はさておき、いい読後感でした。
なので長尺もあり少々不安ながらの鑑賞。
高良健吾君が、世之介の雰囲気を良く表現して好感触。
綾野剛君・池松壮亮君もいい色付けをしていて
3人とも個性ありの役者ながら、
いい引き具合に出る作品度に関心します。
吉高ちゃんは、お嬢様の品位は感じられないながらも
この話には、ちょうど良く
二人のエピソード一つ々々が初々しくにこやかに見守ってしまう。
きたろうと余貴美子の夫婦だってなさそうなのに
良い感じで
原作の世界観がいい感じで出ていて
長いながらも時間を気にして観るでもなく
(かといって、あっという間にではないけど)
観終える。
劇場も良いけど、
夜自分の、のんびりしたひと時にDVDで過ごすお供にも最適かと
生涯大切にしていきたいMYベスト映画です!
世之介が好き過ぎて3回も劇場で観てきました!
原作・監督・役者・音楽(アジカンの主題歌「今を生きて♪」+BGM)が各々の良さを最大限に活かしつつ、絶妙なバランスで成り立っています!
この作品に出ている役者が、世之介役の高良健吾さんを始め皆さん、生き生きと本当に楽しんで演じているのが伝わってきて、観ているこちらまで幸せな気分になります♪
沖田監督の絶妙で巧みな演出のお陰で、240分が全く長さを感じず、グイグイ引き込まれていきます!
この映画に、世之介に出会えたことが本当に幸せで、世之介を知らない人に比べて何か得した気分にしてくれる、そんな笑いと感動を与えてくれる大傑作なので、ぜひ映画を観てください♪
そして、映画を見終わったらヒロインの与謝野祥子(吉高由里子)の様に、「世之介~、だぁーい好き♪」とつい言いたくなるような、高良健吾さんの好演のお蔭も相成り、世之介は愛すべき作品になっています。
生涯のベスト映画に出会えた喜びはデカイ!
先ずは「横道世之介」を撮って下さった、沖田監督を始め、この映画を企画したプロデューサー並びに、出演者の皆様は勿論の事、この映画撮影に関係した総ての方に、ありがとう!と心から私はお礼の言葉を伝えたい思いで気持ちが一杯になった。
こんなに心が温まる映画を観られた事は、本当に嬉しくありがたい事であり、たとえ映画であっても、私もこの映画で、世之介の友達になれた気がして、その事が嬉しいのだ。
気の良い世之介が直ぐに誰とでも友達になってしまうのと同様に、私が映画を通して世之介と友達になったよと、言ったとしても、世之介なら怒らずに受け入れてくれる気がする。
何も80年代と言うあの頃に限った事では決して無いのかも知れないが、誰の人生にとっても、学生時代と言う青春時代は、輝いていて人生の中でもダイヤの様な価値を放っている、たとえそれが浪人生活や、失恋だの、留年などの不運に遭ったとしても、それでも過去を振り返ってみたら、今の自分を支える為に用意された、輝きの時だったと断言しても良い。しかも、本当にあの80年時代は特に時間が未だ緩やかに穏やかに流れるままに、青春を楽しむ為の時間が残されていた時代だ。
今から当時を振り返ると携帯電話も無く、ファックスも無い時代で、地方から都会の学校に出て来て下宿している学生寮などには、エアコンも無いし、今にしては不便極まりない生活だったが、それが普通の生活だった当時の学生時代の私などには、それを不便だと思った事も無く、自分にはそれはそれで楽しい学生生活の毎日だった。
そんな誰の生活にもある学生時代の平凡過ぎるくらいの日常の変化の無い普通の生活の幸せな日々を、淡々と描ききってくれたこの映画は、それだけで素晴らしいメッセージの塊だ。
勉強と、バイトと友達、或いは彼女や彼氏と付き合う事が、誰でも学生なら普通に有って、当り前過ぎ去る普通の時間が、こんなにも尊い事だとは当時は、思いも因らず、無駄に時間だけが過ぎた気がしたりもしたが、その総てが心の財産になっている事を今改めて思い起こさせてくれるこの映画は最高だ。
高良健吾は今回も憎い程良い役を演じていて素晴らしいし、吉高由里子のお嬢様ぶりが、これがまた愛らしくて、愛おしくって最高に似合っていてたまらないのだ。
それともう一つ、この「横道世之介」の物語が、あの12年前のJR大久保駅での人身事故の救出をされ、亡くなられたカメラマンの方のお話だったと言う事を知らなかった私は、更にまた感動的な思いで心が溢れた。あの哀しく切ない事件は今も良く憶えている。ホームからの転落を見た瞬間に反射的に、あのような救出行為を行う事は決して誰にでも出来る事では無く、あのご両人だからこそ、行う事が出来た素晴らしい瞬間の出来事だったと思い、今もあの事故の事は、記憶に深く刻まれている。韓国人留学生については「あなたを忘れない」と言う作品で直ぐに映画化されたが、当時韓流ブームの波に押され、あの日本人カメラマンについては、メディアで殆んど何も語られる事は無かった気がしていたが、今こうして、あのカメラマンの方の青春当時を振り返る映画が出来た事は、日本人として誇らしく嬉しい事だ。あの惨事が起きた事で、その後転落事故防止の為の改善が図られ、転落事故の防止に、今も尚大きくあの事件の教訓が生かされているのだから、決してあのお二人の方の尊いお命は無駄にはなっていない筈なのだ。ご遺族の方には、哀しく耐えがたい重荷であることだろうが、あのお二人が生きていた事の素晴らしさは、私は決して忘れない。そして、この「横道世之介」と言う作品の事も、決して私は生涯忘れる事は無いだろう。最後に再び改めて、素晴らしい映画をありがとう!
人間の人々を想いやる優しい気持ちの大切さと、一人一人の命の尊い可能性を見直す機会を再び映画を通じて作って下さった皆様にありがとう!と御礼申し上げると共に、あの事故で亡くなられた皆様のご冥福をお祈りしています。
もう一度劇場でと思ってたけどあと17館ですか…
いろんな人がレビューしているので1点だけ。
「ばら鯖」さんのレビューに、「世之介の母親から祥子への手紙は、原作の全文を使って欲しかった」とあったのが気になって、その2ページだけ立ち読みしてから観に行きました。
35歳(原作では40歳)の世之介が線路に落ちた人を助けようとして、韓国人留学生と落命したのは、JR高田馬場駅?での実際の事故がモデルになっています。
この事故にあわれた方へのリスペクトの気持を込めて、原作者は母親の手紙を最後に書いたはずです。
その意味からも省略はして欲しくなかった。
この作品観た帰り、『蛇にピアス』『婚前特急』レンタルしました。吉高由里子、良いですね。
小沢と清兄ちゃんも気になる。
予告編で
・主人公はカメラマン(?)
・既に亡くなっている(らしい)
・可愛いお嬢様な彼女がいる(できた)
程度の情報量で鑑賞。
場面設定は1988あたりらしいが、印象としては1985あたりな雰囲気に感じた。
(ファッション等は1988以降と思われるものだが)
地方出身者が上京するとあんな感じか。
普通と言いながら、やや上流の人たちとの交流があったりして、1年目にしては良い滑り出し。
羨ましいぞ、世之介。
隣人の写真家の影響か?写真を始めた世之介に、初めて現像したフィルムは「私が最初に見る女になりたい」と言い、体まで許していた祥子がなぜ世之介と別れることになったのか、興味が湧く。祥子の「現在」が難民との関わりを持つ仕事をしている点で、世之介との長崎での出来事が大いに影響していることは想像でき、別れたとはいえ、祥子の人生にしっかり根付いているのだなと思わせ、感慨深い。
都会の色に染まっていった、世之介と同郷、同期の小沢は、その後どうなったのだろうか・・・
世之介も東京でカメラマンになったことからすると、同じスタンスで仕事をしていたかもしれないが。
長くは感じない(むしろもうちょっと観てみたい気も)が、疲れた時に観ると寝落ちしそう。
実際、上映最後の日に疲れた体で観たとき(4回目)は一部、寝落ちしてしまった。
どうでもいいが、吉高由里子はロボジーの頃よりぽっちゃりしているような・・・
個人的にちょっと残念だったのは雪のシーン。
なんとなくジオラマ的で雪の質感と空気感が雪国の人間から見ると物足りない。
それ以外は良い流れで観ることができた。
お日様みたいなアイツ
好評なレビューが並んでいた本作。
なるほどハートウォーミングな、自分にもこんな友達いたよなぁなんて思い起こさせてくれる作品だった。
利害や打算が絡まないで付き合えていたあの頃…
人を傷つけたりしない、目立たないんけどいつも何か笑ってて、どんなことも楽しく付き合ってくれる。
一時期よく遊んでたのに、親友とか悪友とかになってる訳じゃなくて、記憶の中に埋もれてるアイツ…そうそう、そう言えばいたよね、そんなヤツ…いいヤツだったよね。みたいな…それが横道世之介だ。
この映画、特に何か事件が起こる訳でもなければ主人公が何かを乗り越えて成長する事もない。
ただ淡々と友人たちの思い出を通して横道世之介という人柄を浮き彫りにしている。
なんで友人たちは、ふと横道世之介のことを思い出したのか?その辺のところを考えてみると、また違った見方ができるかもしれません。
何年か後にはこの映画自体が横道世之介のように、ホッコリ嬉しい思い出の映画になっているのかもしれません。
ちょっと長かったけれど
脚本と演出と役者とが、マッチしてていいなぁ('∀`)
現在のシーンを挟むごとに、横道世之介という男の魅力が増していくと同時に、ほのぼのとした画面の外に寂しさも感じられてくる。
キスシーンの撮り方がなんか素敵だった。
ちょっと長かったけれど、なかなか満足♪
遊び心満載な演出に圧巻。とってもいい作品だと思います。
宣伝があまりされていなくて、余計に気になっていた作品です。
始まりから終わりまで、すっごく良かった。
本編170分と書いてあり
正直すっごく不安でしたが、飽きるどころか
どんどん入っていける作品です。
世之介を始め、キャラクターがとにかくいい。
セリフも原作からもあったし、絶妙な演技の間とか
あいづちひとつがキラキラしていた。
改めて、言葉の大切さとか面白さとかをもっと大事にして生活しなきゃ!って思います。
演技の演出がいちいち面白い~。
これは役者さんも演じていて楽しかったのでは?と思う。
皆さん、すっごく溶け込んでいてなんかナチュラル。
私も、この作品、どんな役でもいいから出てみたかった・・・と
それくらい、この映画の世界観が好きです。
ラストはなんか自然と涙が出ました~
こんな面白い人物いないし、
こんな人間との出会い、これからでもあるかな~って
生きることに前向きになれそう。
心がほっこり。後味いい作品です。
エンドロールまでじっくり見入ってしまいました。
日活だったんですね~
あの映像感出せるのはやっぱり日活?
改めていい作品を見せてくれたことに
感謝しています。
横道~・・・逢ってみたいな~・・・
なんか幸せになれそうです
いたって普通の男なんですがね・・・
いとしの横道世之介
とっても感動しました。
すごく素敵な映画でほっこりできました。
いまだに心地いい余韻が残ってるくらいお気に入り作品になりました。
なんて優しい気持ちにさせてくれる映画なんだろう。
この映画を観ると横道世之介というひとりの男を好きなる。
映画を見終わったあとの少しだけ寂しさがありました。
じれったさと心温まる物語に誰もが大ファンになると思う。
80年代後期が舞台でキラキラ感があってよかった。
中盤で回想録なのだと気づきました。
登場人物たちが横道世之介くんを思い出して笑ったり泣いたり語ったり・・・
横道世之介はとっても人間クサイ奴なのです。
強く記憶に残るキャラクターなのです。
終盤で知る決定的なこと。
そのとき、ふと昔起きたある事件のカメラマンの男性が浮かびました。
鳥肌が立つくらい切なくなりました。
そのときの事件は当時ニュースで深く印象に残っててとても悲しくなったのを憶えています。
青春映画というユニークでセンチメンタルな物語。
沖田修一監督さんが原作を大事に壊さずに描かれたことがよく伝わってきました。
愛を感じました。
沖田監督の『キツツキと雨』が大好きなんですけど高良くん出てましたね。
いろんな世代の人が観ても楽しめる優しさに包まれる映画だと思います。
世之介を探してみたくなるのでは?!
もっと売れるべき映画
大きなクライマックスやハラハラドキドキがあるわけじゃないけど、すごい作品だった。ちょっと切ないんだけど、劇中で語られるように世之介を思い出すと「なぜか笑っちゃう」。こういう友達ができるなら、学生時代のしょうもない時間も捨てたもんじゃないよなぁ。
まるで自分の共有した思い出かのように蓄積されていく世之介と周囲の人のエピソード。
内容だけ切り取ると長尺のように思えるんだけど、この映画にはこの長さが必要だった。世之介という人物を伝えるには何なら足りないんじゃないかくらい。
中盤の世之介が亡くなっているという事実は読めてしまっていたものの、あっさり出してきたのが巧いと思った。もうちょっと引っ張ってたらここまでのバランスで成立しなかった。
これから観る人は絶対得した気分になるよ。世之介とこれから出会えるなんて羨ましい。そして何より祥子ちゃんのド級の可愛さにひたすら驚くんだ。
素晴らしかった
横道が極めてダサいのにとても可愛らしい彼女ができるという素晴らしい映画だった。こんな夢のような語り方もあるんだな~と感心した。吉高由里子がキュートすぎて、すっかりメロメロ。うちに来てカーテンにクルクルくるまって欲しい。
しかしそんな可愛らしいカップルが一体なぜ別れてしまったのか、とても残念だ。
世之介のような存在は、物語では生活感がない、幻のように語られる事があるのだが、この作品ではそうではなく、アパートで暮らし、盆暮れには長崎の実家に帰って地元の同級生と遊ぶような極めて実在的だった。実在するファンタジーとして描こうという意図があったのだと思う。
微笑ましい
話自体は短編オムニバス!?でしたが、個性豊かな配役が織りなすアドリブ!?っていうところが随所にあって、見ていて飽きさせず、うまくまとまっていたと思います
ほのほのとした日常の人間関係を切り取った、そんな映画です
横道入って回り道。
まさかこの作品が160分もの長丁場だとは知らなくて、
劇場のスケジュール表を見て驚いた。
えぇ、こんな作品にこんな長さってどういう…?と焦り、
恐る恐る観てみたところ、これがちっとも長くない。
つまり最後まで、ぜんぜん、飽きなかったのである。
しかしながら油断したせいか、ちょうど午前の回に一番
後ろの列を陣取った私を含め3人の鑑賞客は、揃いも
揃ってお腹がグーグー鳴ってしまった^^; あぁ恥ずかし~。
原作の面白さなのか、脚本の妙なのか、
監督の力量はもちろん、あとは世之介の魅力だったのか?
ゆらりゆらりと語られる一見おっとりした懐かしい想い出が
16年を経た現在の友人たちによって、所々で切り替わる。
自分が学生だった頃に、そういえば、そんな奴がいたっけ。
一時仲良く話したことが、一緒に遊んだことが、あったっけ。
なんて、今では疎遠になった友人を想い出す時のあの笑顔。
だけどそんな風に想い出した時、人を笑顔にさせるような
そんな人物でありたいと、なんだか思ってみたくなるのだ。
結論から言ってしまうと、今の現代に横道世之介の姿はない。
冒頭から語られる'80年代の想い出があまりに普通で温かい
せいか、ふと、あれ?どうしたんだろう。なんて思ってしまう。
ただその事実が知らされる後半になっても、世之介の姿は、
まったく変わることがない。ごくごく普通の大学生のまんまだ。
彼が彼らしくそこにいてくれることで、
その'80年代にいた私たちも、今の現代を生きている私たちも、
スクリーンの中の同級生や友人と戯れながら、過去を体験する。
もろに'80年代が青春だった自分からすると、ややもすれば、
ちょっと微妙な描き方がされているのだけれど。
パソコンもケータイもなかったあの頃、公衆電話で10円玉を
積み上げて、実家に電話する主人公が愛おしい。
長崎の港町出身ということが、やけに親切で何でも引き受けて
しまうという、お人好しの主人公をよく物語っている。
都内の専門学校に通っていた頃、地方から上京して寮に入った
同級生たちが、やたらと元気にはしゃいでいたのを思い出す。
まぁ学ぶ場所がどこであろうと、われら青春!だったのだ(古)
世之介が味わう暮らしや友人たちとの学生ライフに、取立てて
何が起こるというわけではない。
彼が片思いする年上の女性や、妙に好かれる富豪のお嬢さまなど、
面白キャラは点在するが、その一つ一つを丁寧に描いているだけ。
今作が映画として成立するのは、そういう何気ない日常の大切さ、
素朴な人生のひとコマを積重ねると物語になる、ということである。
漫然と生きたとか、無駄な時間を過ごしたとか、過去を振り返り
思うことは多々あれども、これが案外あとで役にたつことに驚く。
この世之介くんのエピソードだけで(しかも1年間の)
こんな映画が作れちゃうんだから!人生捨てたもんじゃないのだ。
今作の吉高由里子、これがまた最高に似合っている。
この子がお嬢さま?なんて訝しく思うところだが、ゼンゼン。
むしろ彼女がいてくれて、本当に良かった。世之介も、私たちも。
現在の彼女がラストで出てくるが、おそらく今やっている仕事を
含め、彼女の半生を、たった一人の男が、彩っていた。その一瞬、
一瞬の眼差しは涙が出るほど愛おしく、幸せだと思わせてくれる。
周囲が忘れてしまっても、彼女は一生忘れない(られない)のだ。
(最近私もあの頃が懐かしく想い出されて仕方ない…歳ですかね^^;)
みんなの太陽、世之介
設定の87年といえばWindows3.0が発売になる数年前で、ファッションやかったるい能書きを語る文学くずれの学生を見ていると、雰囲気としては70年代後半という感じがする。いずれにせよ、まもなく終わろうとする昭和の色合いが、街並みや小物などによく出ている。世之介が50年代に製造されたキヤノンのレンジファインダー・カメラにフィルムを入れるシーンがあるが、コダックのフィルムのパッケージはまさしく80年代のものだ。よく再現している。だが、もっと誰もが知っていて年代を象徴する文化やアイテムが登場したら更によかった。
内容では、世之介の天真爛漫な人の良さが和めるが、なんといっても吉高由里子のあり得ないほど純真なお嬢様ぶりに笑える。今まで見た彼女の中でいちばん役を楽しんだように見える。
そんなお嬢様も大学を卒業して社会に出れば顔つきも変わる。その変貌ぶりもまた上手く表現している。
世之介の親友や謎の美女など、世之介を取り巻くすべての人が年月とともにそれぞれの道を歩んでいく。そんななかで変わらないのが世之介だったのではないだろうか。
彼は、初めから自分を飾ることがなかった。ありのままを曝け出し、正直に人と接してきた。世之介は不変の存在であり、いつのまにか人を引き込む。世之介は太陽だ。
話は、それぞれの世之介との関わりと現在の生活をオーバーラップさせながら、世之介がこの世に残した些細な置き土産を振り返る。
どんな人だったと訊かれても「ごく普通の人」としか答えうようのない人間。けれども「彼を知ったことは、ほかの人より得した気分」と言われるのであれば、平凡な人生も悪くはないと思える作品だ。
ただ、日常生活を切り取った起承転結のない群像劇で160分はさすがに長い。途中でいささかダレる。どのエピソードも無くてはならないものではあるが、せめて140分ぐらいにまとめる手はあったと思う。
やっぱ長いよ
祥子ちゃんが世之介の写真を見るのは世之介が死んだ後だから、祥子ちゃんのフランス留学後ふたりは会ってない?ということは、つき合いをやめた?世之介はなんとなくつき合いはじめ、なんとなくつき合いをやめる。だから、相手を傷つけない。自分も傷つかない。そして、出会った人々の心のほんの片隅にほんわかと存在する。世之介はそんな奴だった。
「え?」「え?」
横道世之助は良い奴、というよりも空気の読めなさがいい方向へ作用した奴。
なので劇中に非常に多く登場するやり取りが
「え?どういうこと」「え?」「え?」
という戸惑いにみちた会話です。笑っちゃいました。
本でいう原田宗則とか、椎名誠が好きな人にはたまらない空気感。
ベトナム戦争あたりの大学生活が舞台で、
「うち、クーラー無いから行ってもいいよね?」とか
「ああ実家?ここから出て、ここに帰るよ」(友達の家で)
「おい、一年最後電気な」とか
ああ、あるあるというやり取りが満載で、昔学生だった人は懐かしく思うでしょうし、今学生(私)はクーラーは別として、こんなやついるなあ、とリアリティを感じます。昔のディティールにも凝っていますし、みんなちゃんと服が昔風(笑)
ただ2時間半は長すぎでしょう。インド映画じゃないんですから。
1キャラ分のエピソードを削って2時間以内に収めるべき。見てて疲れます。
あと各人物が年を取ってから回想するシーンが、皆ちょっとわざとらしい。
演技力はあるはずなんですけど、違和感を感じます。
吉高ちゃんは最初の登場〜中盤にかけては自然な良い表情をしているのですけど、
ラストの横道としょうこちゃん(吉高)だけのシーンではわざとらしい女子力全開の表情で・・・
最後のシーン大切なのに、表情に気を取られて入ってこなかったです。
綾野剛(加藤)もよかったし、池松壮亮(倉持)もよかった。
とくに池松は今後注目したい役者です。
倉持が持つ『この先どうなっちゃうんだろうなあ』という先の見えない不安と、
誰に相談すればいいのかも分からない心もとなさをよく表現していました。
思わず倉持を頑張れ!と応援したくなるくらい。
その倉持の不安を破ってくれたのが『空気の読めない』横道の乱入であり、
無神経な感じで話を聞き、「なんでも頼っていいよ」と彼が言ったから、引っ越しを頼むことができた、という連鎖。
感動します。こういうのすきです。このシーンはぜひ見てもらいたい。
こんなやつ中々いないけど、会っただけで笑顔になれる奴。
横道世之助みたいな友達がほしい。(空気読めないけど)
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